本研究では森林資源の分布状況や地形傾斜,林道・一般道の配置をモデル地域が位置する県より得られたGISデータにより把握し,木材および森林バイオマス資源の収穫コストを算出した。また,リチャード生長曲線を用いて将来の小班の材積を予測するとともに,ランダムサーチを用いた平準化により,燃料となる森林バイオマスの収穫コストを最小化しながら安定的な供給を可能とする小班の伐採時期を決定した。収穫量が平準化された小班単位の伐採計画は,エネルギープラントへの森林バイオマスを安定的に供給するとともに,地域からの木材生産量を安定的に確保するためにも有効に使われるだろう。平準化された伐採量はモデル地域の24.8%の世帯が消費する電力を賄うことが可能である。しかしながら,発電コストの燃料部分は19.50円/kWhとなり,日本の電力価格18.17円/kWhを考えると,森林バイオマスのエネルギー利用の実現へ向け,大変厳しい結果となった。今後,路網の整備や森林バイオマスに適した収集・輸送機械の開発による収穫コストの低減が必要である。
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