本研究は,分岐や循環のある路網の平均搬出距離の算出理論式を導入し,さらに路網配置と平均搬出距離との関係を明らかにするのに有効な循環路網モデルを構築することを目的とする。まず,平均搬出距離算出理論式の構築のために,搬出距離の確率分布関数とグラフ理論を導入した。その結果,平均搬出距離は,路網の分岐点や端点などの頂点までの搬出距離と,その頂点の次数,次数を構成する入次数から算出できた。特に,循環のない路網では,頂点までの搬出距離とその頂点の次数のみで算出できることを明らかにした。次に,循環路網モデルとしてはしご型モデルを提案し,そのモデルを適用して算出した平均搬出距離と現実の平均搬出距離との関係を評価した。その結果,両者には正の相関があり,あてはまりの良いモデルであることが分かった。このことから,このモデルを用いて,高密路網の配置と平均搬出距離との関係を分析することは,有効であると考えられた。
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