森林利用学会誌
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29 巻, 1 号
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特集巻頭言
論文
  • 後藤 純一, 吉原 収, 森 大記, 鈴木 保志
    原稿種別: 本文
    2014 年 29 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    高知県香美市内の6路線において24の測点を設け,簡易支持力測定器を用いたCBR値の推定,現場密度試験,簡易貫入試験を実施し,路面および盛土の強度を評価した。本研究では,トラック用もしくはフォワーダ用の2つのタイプの作業道を対象とした。作業道の作設方法を2つのタイプに分類し,各断面で切り盛りの均衡を保つ半切・半盛の工法,作設時に一定区間にわたって掘削した土を移動し,調整した土を転圧して路体を作設する工法を対象とした。現場密度試験と簡易貫入試験の結果から,調査路線には路体内部に十分な締固めがなされていない場合が多く,締固め度は大半が85%未満にとどまっていた。土構造によって路体を作設する場合には,粗粒分の混入によって土を調整することで,最大乾燥密度の改善や含水比の調整につながる。さらに,作設時に重機による土の移動が伴うことは,締固め度をより高めることにつながる。より堅固な作業道を作設するために,土質,含水比,締固め度をサンプル採取による試験を伴わないで工事現場で的確に見極めるための判定方法を開発することの必要性を指摘した。
  • 宗岡 寛子, 白鳥 亮介, 臼田 寿生, 古川 邦明, 櫻井 倫, 酒井 秀夫
    原稿種別: 本文
    2014 年 29 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    森林作業道における波状縦断勾配の凹部の排水場所としての機能を検証するため,波状縦断勾配の凹部,およびそれ以外の部分からの排水量を観測した。また,凹部の形状が排水機能や排水流路に与える影響を明らかにするため,ステレオ写真を用いて路面のDEMを作成した。凹部で観測された排水量はそれ以外の部分と比較して多く,波状縦断勾配の凹部が区間の中で主な排水場所として機能していることがわかった。しかし,路面への降雨量に対する観察された凹部からの排水量の割合は小さく,特に周辺の勾配が緩やかな皿状の凹部ではごく小さかった。凹部の周辺がほとんど平坦になっているために流れ込んだ路面水がその範囲に広がり,本研究で凹部と定義して排水を観測した幅1mの範囲よりも広い範囲が排水場所となっていた可能性がある。一方で,1か所の凹部には20cm幅の排水捕捉装置を5つ並べて設置したが,おのおので観測された排水量は均等ではなかった。これは,凹部と定義した範囲全体で均等に排水が起こっていたわけではなく,路肩の細かな凹凸を縫うように排水流路が形成されていたためと考えられる。
  • 鈴木 秀典, 山口 智, 宗岡 寛子, 田中 良明, 清水 直喜, 加利屋 義広
    原稿種別: 本文
    2014 年 29 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    作業道の強度に影響すると考えられる土質に着目し,異なる土質条件において強度にどのような違いがでるのかを明らかにした。試験地は,群馬県沼田市における火山灰降下堆積物(関東ローム)に覆われた場所とした。同一路線内に2つのプロットを設定したところ,プロット1の方が多くの礫分を含み,粘土・シルト分は少ないことが確認された。各プロットに開設された作業道において,貫入試験,現場密度試験を行ったところ,N_d値,乾燥密度などに違いが見られた.これは,礫分の多少によるためと考えられた。一方,締固め度についてはプロット間の差が小さかったが,これは,同程度の締固めになるようプロット2の施工時間を長くしたためと考えられた。簡易支持力測定器による路面支持力測定では,切土のり面に近い山側わだちではプロット2の方が高い支持力となり,他の試験とは異なる傾向となったが,谷側わだちでは他の試験と同様の傾向が見られた。施工に不適な土質条件となるときは,締固めに適した土を混入するなどして土質条件を改善し,強度が低くなる箇所をつくらないことが重要である。
速報
論文
  • 白澤 紘明, 長谷川 尚史, 梅垣 博之
    原稿種別: 本文
    2014 年 29 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    原木流通費を低減させる一つの手段として,中間土場の活用に注目が集まっている。本研究は,数理計画モデルを使用することで,兵庫県に実在する大型製材工場の原木調達活動における,中間土場の配置計画を検討し,中間土場を活用することによる流通費の低減効果を概算したものである。生成された計画には,2つ以上の中間土場が常に配置されていた。流通費の低減効果は一つの中間土場で計画期間(5年)に発生する固定費が500万円の場合に930.2円/m^3であり,2000万円の場合に581.6円/m^3であった。中間土場を活用することによる流通費の低減効果が存在することが示された。また,その効果を高めるためには,中間土場の固定費を低く抑えることの重要性が示唆された。
  • 曽月 萌, 近藤 加代子, 美濃輪 智朗, 文 多美, 大隈 修, 田上 海
    原稿種別: 本文
    2014 年 29 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    林地残材などの未利用木質バイオマス資源の収集状況を向上するために,事業主体となる企業が,どのように努力すべきかについて検討する必要がある。それを明らかにするため,本研究は,収集主体となる森林組合,素材生産者,合計461の企業を対象として,アンケート調査を実施し,事業者の収集状況に対してどのような事業者の取り組みが有効かについて共分散構造分析を行った。分析を通じて,企業の収集状況に最も影響したのは需要開拓の取り組みであった。需要開拓の取り組みに対して直接関係していたのは,企業の一般的経営行動として捉えられる取り組み群ではなく,向地域社会的志向として捉えられる取り組み群であった。その中にあって,地域連携は重要な役割を果たしていた。
速報
  • 櫻井 倫, 仁多見 俊夫, 酒井 秀夫
    原稿種別: 本文
    2014 年 29 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2014/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    タワーヤーダを使用した集材架線の架設において,中間支持器の効用を架線が地表面に支障されることなく架設できる確率(到達率)により計算した。メッシュにより表現した地理情報を用い,任意のグリッドから所与の最大スパン長以内の距離にある対象林分内の全グリッドに向かって架線が架設可能である確率を求め,対象林分における平均確率を到達率とした。架線架設の可否は架線を想定した曲線が地表面に接触するか否かによって判定した。埼玉県秩父地域,山形県金山町,オーストリアのシュタイエマルク州テルル川流域,米国のマサチューセッツ州ベアタウン州有林の4か所において最大スパン長を300m,500m,800mと変化させて計算を行った結果,いずれの場合においても中間支持器の使用により到達率は1.5〜3倍となり,中間支持器の効用が確認できた。
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