細部路網の計画時における現地調査の効率的な実施のために,表層が土石で構成される斜面を対象に地形を表わす指標として,斜面傾斜度,水平方向の開放角度および縦断方向の開放角度を用いて,切取のり面の安定性に関与する細粒分割合の相対的な大小を推定しようとした。また,切取のり面を観察し,土石の区間と岩盤の区間に区分し,地形の指標との関係を明らかにしようとした。10mメッシュのDEMを用いて対象地を地形的に均質な連続する斜面に分割し,異なる路線にも共通して細粒分割合の大小を区分しうる条件を抽出した。その条件は,谷がちな急傾斜地として斜面分割の限界値10°では斜面傾斜度25°以上,水平方向の開放角度140°未満,また,斜面分割の限界値15°では斜面傾斜度30°以上,水平方向の開放角度145°未満の点を含む斜面であった。条件に適合しない斜面では細粒分割合が十分に高い。表層を構成する土質を斜面傾斜度によって区分した。25°未満では土石斜面,30°以上では岩盤斜面である確率が高い。地形の指標と斜面分割によって,岩盤斜面と細粒分割合が高い斜面を推定し,現地調査における粒度試験を必要とする地点を限定する方法を示した。
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