森林域における位置情報は林業機械の自動化等多岐にわたる範囲において重要な基礎情報である。本研究では,林業機械の自律走行時における測位誤差が制御誤差に与える影響についてシミュレーションにより解析を行った。車両の運動モデルに基づき仮想の曲線および実際の単線型,循環型作業道において走行シミュレーションを行った結果,曲線半径が制御誤差に与える影響はほとんど見られなかった。単線型,循環型いずれも測位誤差0.05 m で制御誤差が最小となり,それぞれ0.160 m, 0.161 m であった。測位誤差0.05,0.5,1.0 m の間の平均制御誤差の差は0.4 m 程度であった。幅員3.0 m の森林作業道を自律走行する場合では,許容可能な制御誤差は最大積載量3 t クラスおよび5 t クラスのフォワーダでそれぞれ左右方向に0.6,0.3 m となる。いずれの測位精度においても最大誤差が1.3 m 以上であり,この目標値を満たすことができなかったものの,制御誤差の増加は測位誤差の増加と比較して小さく,測位誤差が発生した場合でも制御誤差に対する影響は部分的である可能性があった。