森林利用学会誌
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11 巻, 1 号
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論文
  • 市原 恒一, 豊川 勝生, 澤口 勇雄
    原稿種別: 本文
    1996 年 11 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    林道路面排水施設の設計に供する基礎的資料を得る目的で,中津川営林署の地形・道路構造の異なる2本の林道において,排水施設が処理する雨水量および降雨量を測定した。はじめに,林道路面上を流れる水の流出モデルを作成した。次に,観測資料を基に路面流出率および道沿い流域流出長を特性曲線法により計算した。その結果,ピーク降雨量が1.1mm/minの時に,道沿い流域流出長の最大値は,主谷沿いの幹線林道で7.1m,中腹から尾根沿いの支線林道で2.6mであった。路面流出率および道沿い流域流出長に影響をおよぼす因子を求めるため,重回帰分析を行った。重回帰式には1時間先行降雨,道沿い流域奥行きおよび路線位置区分指標が選択された.2本の重回帰式に選択された因子は一致した。
  • 市原 恒一, 豊川 勝生, 澤口 勇雄
    原稿種別: 本文
    1996 年 11 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    廃道トラクタ集材路の路面・路体を保全するための基礎的資料を得る目的で,廃道後の路面から流亡する土砂量と降雨量を測定した。流亡土砂量の予測にUniversal Soil Loss Equationを適用するため,測定値から土壌係数を計算し,それに影響を与える因子を相関分析により求めた。その結果,土壌係数は切取のり高と廃道後の経過年との関係が大きいことが明らかになった。さらに,重相関分析を行い,土壌係数の簡易な算出式を導いた。また,トラクタ集材路の土砂流亡量を減少させるためには,切取のり高を低くする配慮が必要であることが明らかになった。
  • 吉村 哲彦, 黒谷 茂宏, 神崎 康一, 内田 修
    原稿種別: 本文
    1996 年 11 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,都市近郊林では,林道を建設する際に,景観への配慮が求められる場合が多い。京都市東山に防火管理道が計画されているが,この付近は著名な観光地が多く,景観が損なわれることのないよう十分な配慮が必要とされる。そこで,コンピュータシミュレーションを用いて,3つのルート候補案の景観への影響を事前に評価した。その結果,京都市内側の斜面を縦断し,当初景観への影響が懸念されていたルート候補案が,実際は景観への影響が最も小さいことがわかった。さらに,AHP(階層分析法)を用いて,景観への影響度,林道の経済性,斜面崩壊の危険性,林道の走行性という4つの評価基準の重み付けを行った。これらすべての評価基準によって3つのルート候補案を評価したところ,景観面で最も優れたルート候補案が最適であるという結果になった。
  • 佐々木 重樹, 吉村 哲彦, 沼田 邦彦, 神崎 康一, 周 向陽
    原稿種別: 本文
    1996 年 11 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    パワーショベルを改造したダブルウインチスイングヤーダを試作し,間伐木の集材作業に適用した。試作機は,通常のパワーショベルに油圧駆動ウインチ2胴を装着したものであり,ウインチを駆動しながらの旋回や,アーム・ブームの操作が可能である。また,架設および撤去の所要時間が従来機に比べて短縮されていること,高い横取り性能を持っていること,スイングブームによって林道上に直接荷上げを行うことが可能なことが示された。さらに,本試作機の要素作業の時間分布をもとに集材作業のシミュレーションを行った結果,スパン長が100m程度の場合,伐区幅が40m前後の時に最も高い効率で集材が行えることがわかった。以上の調査結果から,本機は小幅員の作業道上での集材に適した作業特性を持つことが示された。
  • 吉村 哲彦, 佐々木 重樹, 山本 俊明, 神崎 康一
    原稿種別: 本文
    1996 年 11 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    パワーショベルを改造した簡易タワーヤーダを用いて急傾斜地のスギ林内で間伐試験を行い,その間の作業者の労働負担を調査した。心拍数から推定したRMRは,タワーヤーダの操作が0.4,荷掛けが9.6,枝払い(林内)が8.0,玉切り(林道)が6.8などであった。この値を用いて,シミュレーションによって伐区幅と作業者の消費エネルギー量の関係を調べたところ,架設撤去作業を含めた場合,オペレータ,荷掛け手,荷外し手,枝払い手の消費エネルギー量は,それぞれ,伐区幅が62.2m,41.2m,36.6m,41.6mのときに最小になることがわかった。さらに,8時間労働における消費エネルギー量を計算したところ,オペレータが1120kcal,荷掛け手が2588kcal,荷外し手が2606kcal,枝払い手が2929kcalで,オペレータに比べると,他の作業者の消費エネルギー量がかなり高いことが明らかになった。
  • 佐々木 尚三, 熊倉 由典, 佐々木 達也, 遠藤 利明, 山田 健
    原稿種別: 本文
    1996 年 11 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    クローラ形スキッダおよびフェラーバンチャの走行性能試験を実施した。試験は泥ねい状態を含む3種類の土質走路で行い,スリップ率とけん引力の関係とその実験式を求めた。その結果,両機種共0.2程度のスリップ率で最大けん引係数0.6〜0.9を発揮した。またフェラーバンチャのキャビンチルト機能は,けん引力向上に有効であることを明らかにできた。泥ねい走路での最大けん引係数は0.2〜0.4と大きく低下し,林地での走行性を良く表した。さらに土質別の登坂限界を,けん引力とスリップ率の関係式から推定した。この方法は,地表条件に左右されないため,登坂能力を明確に評価する方法として有効であると考えられる。WESによる車両トラフィカビリティ評価法では,走行可能性判定が林業車両用に不適と考えられる反面,余剰コーン指数から求める最大けん引力や登坂角度の試算方法は,林業車両の簡易な走行性判定方法としての可能性が示された。
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