25年生のスギ人工林において元口移動によるかかり木処理中の張力を測定し,本方式の有効性について検討した。元口移動の方法は(1)そのまま移動させる(方法A),(2)元口に鉄製のそりを挟んで移動させる(方法B),(3)竹を数本並べた敷き木の上を移動させる(方法C)の3種類とした。元口移動に必要な張力の平均値は方法Aで349N,方法Bで320N,方法Cで172Nであり,方法Cでは方法Aや方法Bと比較して49〜53%減少した。最大移動距離の平均値は方法Aで3.0m,方法Bで2.5m,方法Cで2.6mとなり,方法間での差は小さかった。かかり木の処理に必要な力を押し倒し方式および回転方式と比較した結果,押し倒し方式では1,107N,回転方式では69Nであったのに対して,元口移動方式の方法Aでは88N,方法Bでは78N,方法Cでは39Nとなり,元口移動方式の方法Cが労働負担軽減の観点から好ましい方法と判断された。
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