森林利用学会誌
Online ISSN : 2189-6658
Print ISSN : 1342-3134
ISSN-L : 1342-3134
14 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • 芝 正己, 石川 知明
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    山岳地域における林業の諸生産活動において,とりわけ林道開設に伴う流出土砂は,その発現形態が非点(ノンポイント)的であるという特徴から,面的な拡散をしながら周辺域に大きな環境負荷を与えることがこれまでの研究から明らかとなっている。すなわち,林道から斜面に流出した土砂の多くは,経年的な移動・拡散作用により,最終的には陸水域の接点である河畔域に集積する。そのため,森林と渓流域の多様な生態系を相互に結び付けている当該地域の取り扱いについて,環境的側面からの重要な問題を提起することになった。本研究では,滋賀県下の花崗岩山岳地域に開設された林道を対象として,デジタルオルソをソースデータとする簡易型画像解析法を導入し,その流出土砂の時系列的な変化特性や動態を定量的に評価することを上記問題に対する予備的研究として試みた。その結果,当該林道からの流出土砂の拡散分布は,開設後の比較的早い時期に最も大きく,その後漸次的に減少していくことが明らかとなった。これは,従来報告されている流出土砂の時系列的動態特性と一致する。一方,このような動態特性の構造が,斜面上の流出土砂の面積分布と移動距離の相互関係からかなり捉えられることも明らかとなった。
  • 松本 武, 北川 勝弘
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 85-94
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国の主要な林業地域のうちから,中部日本の主要林業地域10ヶ所に含まれる46市町村を対象として,民有林林内道路開設計画の策定過程と山林所有者間の合意形成に関する実態をアンケート調査し,その現状と課題を分析した。調査結果から以下の諸点が明らかとなった。(1)多くの市町村の林業担当者が路網不足を感じており,路網整備の必要性を強く認識している。(2)各市町村とも共通して,所有者間の複雑な利害関係や価値観の相違のために路線開設に関する合意形成が非常に困難なものとなっている。(3)特に,合意形成を困難にする主な要因として,受益者負担金の存在や用地・支障木に対する補償が無いことが挙げられる。(4)事業主体である市町村の合意形成の場への参加度合いは高いとはいえず,地元への依存傾向にある。また,山林所有者に対する林道の必要性に関する広報等の活動は少なく,情報提供の不足という点が現行の合意形成システムの問題点として指摘された。
  • 板谷 明美, 山崎 忠久
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    オルソフォトは多大な労力と時間を必要とする広範囲の土地被覆の現状調査に有効である。しかし,その作成には,専門的な技術や装置を必要とするだけでなく,多くの時間を要し,高価である。本研究ではパソコンと自作のプログラムによる簡易なシステムで,デジタルオルソフォトを作成する方法について検討した。プログラムは,航空写真,デジタル化した航空写真,地形図上でそれぞれ測定した基準点の座標から各座標間の変換式を求める段階,その変換式を使ってDTMのメッシュ交点の座標をデジタル画像の座標系に変換し,その位置における階調値をデジタル画像から共一次内挿法により求め,DTMの座標系に再配列し,画像化する段階に大別される。本システムによるデジタルオルソフォトは,密着写真1枚からの作成所要時間が約8時間と短く,地形図との比較では,誤差が平均4.24mと高い精度であることがわかった。
速報
研究・技術資料
feedback
Top