本研究は,造林作業に有効と考えられる小型の半脚式機械を開発するために,最適な歩行脚機構を明らかにすることを目的とする。このため,ナックルブームタイプと振り子タイプの2種類の脚機構を,歩行時の駆動トルクと消費エネルギーから比較した。ナックルブームタイプの脚は,緩傾斜の上りや下り歩行では前進が,中から急傾斜の上りでは後進が効率的であった。これは,既存の半脚式機械の作業方式が適切であることを示している。ナックルブーム脚を協調動作させることは,急傾斜の上りで極めて有効であり,協調制御の実現を目指す半脚式機械の開発の方向が正しいことが裏付けられた。揺動部分の長さの異なる2種類の振り子式脚を比較した結果,揺動部分の長い脚の方が,必要駆動トルクは大きくなるものの,消費エネルギーは小さくなることがわかった。本研究の設定では,先端の揺動部分の長い脚の移動速度は他より速いことから,この脚機構によって移動速度の向上が可能であることが示唆された。移動速度の向上は,半脚式機械の開発において重要な目的の一つであり,この脚機構がその可能性を持つことがわかった。
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