本研究は,事業体全体での安全に対する意識や組織風土といった視点を取り入れながら安全確保の方策を見出していくという考え方をもとに,安全意識・行動や組織風土,それらが事業体の安全レベルにどのように影響しているのかということを明らかにすることを目的として調査を行った。その結果,「労災発生少」事業体群は安全に対してプラスに働くものと考えられる安全意識・行動をとっている傾向があること,林業労働者の安全意識・行動には,「積極的安全意識・行動」,「能率主義」,「安全に対する過信」,「自己中心意識」,「安全重視」などが潜在すること,「労災発生少」事業体群では積極的安全意識・行動が強く,能率主義の意識が弱いことがわかった。組織風土についても「労災発生少」事業体群は安全に対してプラスに働くものと考えられる風土を有している傾向があることがわかった。また,林業事業体の組織風土には,「上下の信頼関係」,「コミュニケーション」,「仕事への積極性」,「協調性」,「成果主義」が潜在し,「労災発生少」事業体群は上下の信頼関係,コミュニケーションを有する組織風土があることがわかった。
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