路網作設による山地災害リスクを低減するためには,不安定な斜面に路線を配置することは避けなければならない。本研究では,路線選定支援を目的に,表層崩壊の発生する危険性の高い斜面を簡易に推定する手法を開発し,その妥当性を検証した。推定はDEMから算出される3つの地形量(侵食高,未侵食高,侵食率),それぞれを用いて行う。検証の結果,いずれの地形量も表層崩壊と関係が深く,崩壊危険地を推定するために有用な地形量であることを確認した。さらに,提案手法の性能評価を行うことで,3つの地形量の内,侵食高を用いることで最も高い推定性能が獲得されることを明らかにした。提案手法は,DEMのみを用いて,崩壊危険地の効率的な絞り込みを可能にするものである。推定結果は適切な地形判読に基づく路線選定を行うための支援情報として活用されることが期待される。