対象面域は5ha,約80グリット(1グリット25m×25m)とし,120対象面域について検討した。地形傾斜指数Fの計算・算出法はすでに原理が述べられているが,ここでは,簡便法・迅速法によった。まず,対数正規分布の解析による方法では,対数正規確率紙上に地形傾斜分布曲線をプロットし,緩・急傾斜の区分線S_1,S_2上の累加頻度を読みとることにより,Fを求めた。また,傾斜の対数値をlogS_1とlogS_2間で直線式に近似させ,各傾斜区分線上の傾斜分布曲線の値F_1,F_2の算定式を与えることにより,Fを得た。さらに,直線式に近似させる方法から実測値と残差平方和が最小となるような(最小二乗法)Fの一般式を求めた。Fの一般式は傾斜logX_iの標準偏差σ_mによって決まり,ロジステック曲線に適合することがわかった。この方法はきわめて簡便であり,実用上十分な精度が得られた。120か所の対象面域に対して実際の傾斜分布と算定されたプロフィールを比較すると,標準誤差は2.583%であり適合度はきわめて良好であり,ここで得たモデルは地形傾斜評価の一方法として妥当であることが示された。
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