森林利用学会誌
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31 巻, 2 号
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速報
  • —長野県におけるヒノキ林の事例—
    大塚 大, 斎藤 仁志, 守口 海, 植木 達人
    原稿種別: 速報
    2016 年 31 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 2016/04/30
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
    天然更新を利用する森林作業法のなかでも,漸伐作業は比較的容易に誘導できるとされている。世代交代を図る後伐の段階では,下層木に損傷が発生するが,複層林施業を対象として,損傷を軽減する作業方法の検討など,収穫技術に関する知見の集積がみられる。しかしながら,経営において大きな問題となる作業コストを取り上げた報告は少なく,複層林施業では通常の皆伐施業と比べてどの程度山林所有者の負担が増加するか明らかでない。そこで,本研究では,今日普及している車両系作業システムによる終伐作業を取り上げ,時間観測から労働生産性を算出し,主伐事例との比較を行うことで,下層木による作業性の低下を明らかにした。その結果,終伐作業の労働生産性は6.26m³/人日と低い値となり,伐出コストも9,771円/m³ と高額になった。一方で,下層木は終伐を通して林地面積のおよそ30%で保残され,再造林にかかる費用の軽減が期待された。木材販売価格と造林費の省力化を加味して経営費用を試算した結果,漸伐作業のそれは皆伐施業と比較しても著しく大きいものではないことが示唆された。
  • 鈴木 保志, 山﨑 真, 渡辺 直史, 福田 雄治
    原稿種別: 速報
    2016 年 31 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2016/04/30
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
    木質バイオマス発電施設への材供給の一手段として,高知県西部では放置薪炭林などの未利用広葉樹林を皆伐し回帰年を設定して天然更新により循環利用する方式が検討されている。その試験事業として約10haの海岸性広葉樹林を試験地として設定し,皆伐後架線により集材して材を木質バイオマス発電施設に供給する作業が行われた。試験地の平均蓄積は標準地法により約300m3/haと推定された。事業では4か月間で試験地のうち約3haから572tの材が搬出されたが,土場までの平均搬出経費は架設と伐出で12.0千円/tであったのに対し,枝条を含めた材からの収入は丸太形状のみで4.8千円/t,枝条も含めた総平均で3.7千円/tと,大幅な赤字となった。平均功程は伐出のみで2.6t/人日,架設を含めて2.1t/人日で,収支が均衡するためには生産性を2~3倍とする必要がある。集材作業では特に散在する全木材の横取りに時間を要したことが生産性が低くなった原因と考えられた。一定の径級以上の材のみを集材対象とすることで数割の生産性向上の可能性が推察された。
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