愛知県東三河計画区内の4市町において,森林施業の実施状況を比較し,目標道路密度をそれぞれ算定した。解析期間を1991〜2000年として,5つの基礎的な施業と,公道,林道,作業道を対象に解析を行った。施業の実施量は10年間で徐々に減少し,特に上流域で顕著であった。施業の実施に影響を与える道路から施業地までの到達距離は,中流域で最も長く,次いで上流域,下流域の順であった。1997年以降,木材価格の急落に伴って,上流域では施業地の到達距離は大幅に減少し,森林全域の到達距離との差は拡大傾向にあった。一方,中流域では施業地の到達距離は維持され,道路の新規開設によって森林全域との差は縮小傾向にあり,下流域では10年間で施業地の到達距離は減少傾向にあったが,森林全域との差は最も小さかった。これら施業の実施状況に即した目標道路密度は,中流域で最も低く,次いで上流域,下流域の順であった。上流域や中流域では,道路を効果的に配置し,森林管理の効率化を図る必要がある。一方,下流域ではもうすでに上流域の市町村の目標値に達しており,道路整備よりも森林整備への普及活動が重要になると考えられる.
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