稜線部への路線開設における地形条件を明らかにした。対象地は,これまでに解析を行っている木曽谷に,磐城・天竜の各森林計画区を加えた地域である。全体的には,路網密度が高い地域で稜線路線が多くなっていた。これは,通常の林道が谷筋から開設され次第に斜面を登っていくために,ある程度の道が開設されなければ稜線部まで到達できないことに起因すると思われる。解析の結果,斜面傾斜,傾斜分布の歪度,比高,谷密度といった地形条件が厳しくなると稜線部路線が少なくなることが分かった。いくつかの地形条件では,ある値より大きい場合に路線開設に影響を及ぼしており,この上限値が傾斜20度,比高1,250〜1,500mであった。このような地形条件を持つ地域では,稜線部への路線開設が難しくなるといえるが,いくつかの地域では,稜線部への路線開設が多く見られた。これは,隣接流域からの峰越路線から派生して路線が開設されたためと考えられる。地形条件の厳しい地域では,このような稜線路線の開設が有効であると考えられる。
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