作業空間内における油圧ショベルの動作計測と作業時間分析を行うことにより作業道作設作業を行うオペレータの施工技術および施工方法の特徴を明らかにすることを試みた。習熟度の異なるオペレータの作業をそれぞれ分析した結果,作設した作業道の勾配等の条件は異なるが,作業の進捗速度や作業の大きな構成要素となる掘削,走行,転圧の各要素作業時間の割合はほぼ同じであった。しかし,熟練オペレータの作業には,1)地山を深くまで堀り返し土を混ぜ合わせて均質な材質で路面を成形している,2)盛土を安定させるために根株をうまく利用している,3)複数の層状に路面を成型している,4)機械の発進・停止時の慣性力を利用して路面を転圧しているなどの特徴が見られることが分かった。
近年,森林域におけるマルチコプター(回転翼型UAV)の活用が着目されている。特に林分上空か ら取得した様々な情報を森林管理に活用することが期待されている。一方で,回転翼型UAV を飛行させる際には注意すべき点や飛行条件等の制約がある。そこで本研究では,回転翼型UAVの特徴や制約を踏まえ て,急峻地形の林分において固定翼型UAVを用いて空撮を試みた。取得した空撮画像から新しく開設した作業道を判読し作業道の地理情報化と縦断勾配測定を試みた。その結果,対象エリアの画像を地上解像度 6〜9 cm/pix で取得することができた。また取得した空撮画像から作業道を目視判読することで新設作業道を地理情報化し,DEMと重ね合わせることで縦断勾配を算出することができた。本成果によって,現地での測量業務の軽減と低コスト化に繋がることが期待できた。回転翼型UAVでは空撮の実施が困難であった林分,また広範囲に空撮を実施する必要がある場合に,固定翼型UAVは大変有力なツールとして活用できる可能性が高いことが明らかとなった。
富山県立山町の三等三角点「栃津」において,安価な 2 周波 GNSS 受信機 3 機 による 3 時間の静止測位と後処理解析を行った。受信したのは,GPS,GLONASS,QZSS および GALILEO の L1 波と L2 波であり,RTKLIB による後処理を行ったのち,観測開始から 30 分,1 時間,2 時間,3 時間の 4 つの観測時間に分割して fix 率,水平測位誤差,垂直測位誤差を算出した。GPS だけを使 った解析では観測開始直後から fix 解が得られることが多かったが,その水平誤差は大きかった。GPS と QZSS の組み合わせは,他の組み合わせよりも fix 率が高く,AR 比が最大の 999.9 のときの水平誤差は 5 cm 前後となった。GPS と GLONASS,GPS と GLONASS および QZSS,GPS と GLONASS と QZSS およ び GALILEO の組み合わせは,観測時間が短い場合に fix 解が得られないこともあったが,ひとたび fix 解 が得られ,AR 比が 999.9 に達したときの水平誤差は 1〜2 cm 程度となった。垂直誤差は小さい場合でも80 cm 前後と,水平誤差に比べて非常に大きかった。L2 波の効果は明瞭ではなかった。