愛知県北設楽郡設楽町と同郡東栄町において,両町森林組合が1991年から2000年に受託実施した植栽,枝打,下刈,除伐,間伐の5作業と公道,林道,作業道を対象に,森林整備と基盤整備の実施状況の関係を時系列的,空間的に解析した。森林施業の実施量は両町ともに10年間で約50%に減少し,両町森林整備計画の必要量に対する達成率は50%以下であった。施業地と森林全域の平均到達距離は10年間の平均でそれぞれ,設楽町では156mと211m,東栄町では164mと216mであり,設楽町で55m,東栄町で52mの差があった。施業地と森林全域の平均傾斜は数%の差しかなかった。森林整備の実態に即した目標路網密度を算出した結果,設楽町では8.1m/ha,東栄町では7.1m/haの道路の新規開設が必要となった。次に森林整備と基盤整備を効率良く進めていくために小班単位で森林の整備状況を把握した。森林資源構成,森林整備,基盤整備を評価因子としてクラスター分析を実行した結果,森林整備や基盤整備の状況によって両町とも4つのカテゴリーに区分され,さらに判別分析を用いることで整備過程を時系列的に把握した。
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