筆者は,安全に立木を伐り倒せ,かつ作業者が持ち運べる,可搬式のマニピュレータを開発している。またこのマニピュレータは,公称で18万台普及しているチェーンソーをそのまま着脱して使用する。この伐倒ポータブルマニピュレータTATSUMIのⅣまでで,人手による立木の伐倒作業を機械により代替した。マニピュレータにチェーンソーを操縦させることで,切削精度の安定性とその安全性を評価した。同時に長大異形で,重量のある立木を伐り倒すのに,ハーベスタ,フェラーバンチャのように数tクラスの機械にしなくても,作業者の安全を確保した状態で,立木を伐り倒せる可能性を明らかにした。これまでは立木を伐り倒す作業自体を対象に開発してきた。そこで,さらに伐倒作業前後の設置・固定の作業,そして運搬性能の向上を目的にTATSUMI Ⅴを開発した。本報では,このTATSUMI Ⅴの詳細と,このTATSUMI Ⅴで伐倒作業を実証した結果について報告する。
最近になってUAV向けにデザインされたレーザースキャナをドローンに搭載したレーザー計測サービスが始まりつつある。本研究はLSを搭載したドローンによる森林計測により,地形と樹高の抽出可能性を地上型レーザー計測(TLS)結果との比較において検証・考察することを目的とする。広島県廿日市市吉和地内の民有スギ林約6haをルーチェサーチ株式会社「SPIDER-eX」で計測した。その結果,地形についてはドローンと地上型とのDTM値の差分は概ね±1mの範囲内であったが,深い谷部でのスパイクがTLSのほうが多かった。また樹高については,梢端部抽出で用いる際のDSMが解像度50cmの場合で最もTLSと近い抽出結果となった。今後はTLSとドローン計測の連携による運用を検証する必要がある。