本研究では直接燃焼発電プラントと小規模ガス化発電プラントの統計資料をもとに,モデル地域を対象として最適なエネルギープラントの規模について検討した。直接燃焼発電に関しては発電容量3MW以上,発電効率18%以上のエネルギープラントで原料調達コスト10.5円/kWh程度で最小となった。一方,小規模ガス化発電では発電容量1MW,発電効率27%のエネルギープラントで原料調達コスト4.3円/kWh程度で最小となった。また,6町の役場で小規模ガス化発電を行う場合には発電容量100kW,発電効率20%のエネルギープラントで原料調達コストが6円/kWh程度で最小となった。発電コストの固定費を8円/kWhと想定して,日本の電力価格18.17円/kWhから差し引いた10.17円/kWh以下に原料調達コストを抑えるためには,直接燃焼発電の場合には発電効率の向上や路網の整備が必要であることが確認された。路網を整備することによって,集材距離が短縮された場合,原料調達コストが減少するとともに,林道建設費用を含めたトータルコストも減少することから,林道建設による収穫費用の低減が,今後,期待される。また,発電効率が高い小規模ガス化発電の利用が,森林バイオマスのエネルギー利用にとって重要であることが確認された。
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