森林利用学会誌
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25 巻, 4 号
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論文
  • 山田 健, 遠藤 利明, 池田 伸
    原稿種別: 本文
    2010 年 25 巻 4 号 p. 185-194
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    クローラ型林業用車両の急斜不整地走行性能向上のためには,接地面積の確保,局所接地圧の増大抑制が重要である。車両の足回り装置設計のための基礎的な根拠となる地表形状のデータを,林地微地形測定装置を製作して,測定してきた。今回,蓄積した地表形状データをもとに,車両足回り装置の諸元を最適化することを試みた。Microsoft Excelのマクロにより,仮想車両の車重,重心高,クローラ幅,ラグ高,および対象地の土壌の粘着力,内部摩擦角を定数として設定し,接地長,転輪間隔,懸架ストロークを変数として逐次変化させながち,設定範囲内のすべての変数の組合せについて測定した地形データ上を仮想的に走行させて接地率を求めて駆動力を算出し,走行に必要な駆動力と比較して走行可能性を判定するプログラムを作成した。この結果から林地走行車両の足回り諸元の最適値を導いた。現状では検証の手段がないので,その妥当性を判断することは困難であるが,実在の車両により登坂できなかった事例と計算結果を比較したところ,諸元上の問題点が抽出できた。プログラムの改良と結果の検証が今後の課題である。
  • 鈴木 秀典, 有賀 一広, 岩岡 正博, 田坂 聡明
    原稿種別: 本文
    2010 年 25 巻 4 号 p. 195-206
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    循環路網には,交通利便性の向上および代替路を確保する機能がある。循環路が多く形成される高密路網においても,これらの機能をより高度に発揮することが路網計画の重要な視点になる。本稿では一般道路網などの解析・評価に用いられている信頼性解析によって高密路網の代替路機能を評価した。その結果,代替経路の多少,および代替経路が最短経路に比べてどの程度延長しているかという代替路の有効性を,数値により比較することができた。また,信頼性に路線の接続構造が関係しており,ハシゴ型の接続構造が高い信頼性となることが分かった。本手法を導入することによって,高密路網のような循環路を含む路網の代替路機能をより適正に評価することができる。また,遮断の際には,車両の迂回,方向転換などを強いられ,作業の生産性や安全性が低下するため,本手法によって,このような視点からの路網計画を行うことができる。また,地域交通網の一翼を担う林道においても,本手法を適用することによって,より高い代替路機能を持つ道路網整備に貢献できると思われる。
  • 上村 巧, 岡安 崇史, 井上 英二, 加利屋 義広, 岡 勝, 鹿島 潤
    原稿種別: 本文
    2010 年 25 巻 4 号 p. 207-214
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    受口切りの不一致やツル幅の不均一が,伐倒方向と作業の安全性に与える影響を,VTRによる観察と有限要素法を用いた解析によって調べた。受口切りの不一致の生じた伐倒木については,VTRの観察から傾きが少ない段階でツルが急に破断し,伐倒方向が制御できなくなることが確認された。また,有限要素法による解析では,追口高さが低い場合に裂け上がりが起こりやすくなり,危険であることが明らかとなった。ツルの保全目的で低い追口を切る場合には受口切りの不一致は決して起こしてはならない。ツル幅の不均一な伐倒木について,VTRによる観察から必ずしもツル幅の厚い方へ引かれて倒れるとは言えないことを確認した。有限要素法による解析では,不均一な幅のツルが曲がることで伐倒方向と直角方向のわずかな変位が生じることが明らかとなった。しかし,その変位が最終的な伐倒方向に及ぼす影響は不明であり,ツル幅を不均一に変えて伐倒方向を制御することは,不確実であり作業の安全上適切ではないといえる。
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