クローラ型林業用車両の急斜不整地走行性能向上のためには,接地面積の確保,局所接地圧の増大抑制が重要である。車両の足回り装置設計のための基礎的な根拠となる地表形状のデータを,林地微地形測定装置を製作して,測定してきた。今回,蓄積した地表形状データをもとに,車両足回り装置の諸元を最適化することを試みた。Microsoft Excelのマクロにより,仮想車両の車重,重心高,クローラ幅,ラグ高,および対象地の土壌の粘着力,内部摩擦角を定数として設定し,接地長,転輪間隔,懸架ストロークを変数として逐次変化させながち,設定範囲内のすべての変数の組合せについて測定した地形データ上を仮想的に走行させて接地率を求めて駆動力を算出し,走行に必要な駆動力と比較して走行可能性を判定するプログラムを作成した。この結果から林地走行車両の足回り諸元の最適値を導いた。現状では検証の手段がないので,その妥当性を判断することは困難であるが,実在の車両により登坂できなかった事例と計算結果を比較したところ,諸元上の問題点が抽出できた。プログラムの改良と結果の検証が今後の課題である。
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