人文地理
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59 巻, 6 号
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Special Issue
  • Toshio Mizuuchi
    2007 年 59 巻 6 号 p. 471
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/01/06
    ジャーナル フリー
  • 柴 彦威, 周 尚意, 蔡 運龍, 張 艶, 呉 莉萍, 翁 桂蘭
    2007 年 59 巻 6 号 p. 472-492
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/01/06
    ジャーナル フリー

    社会経済の変化とグローバル化が中国の人文地理学研究に大きな影響を与えている。この移行期に中国の人文地理学においては多くの研究が行われ,大きな進展を獲得してきた。本論文は中国の人文地理学の近年の展開を展望するが,おもに以下の分野について述べている。それらは都市と地域の発展,文化のグローバル化と「文化的転回」,生活の質の向上とツーリズムの発展である。都市と地域の発展については,グローバル化と社会経済変化の下での都市化の研究が大きな位置を占めており,都市化の特徴,都市空間の再編成,都市の社会問題が考察されている。また本論文では文化のグローバル化と文化的転回の動向を背景とする文化地理学の進展について,文化景観研究の発展,文化的領域あるいは地域の深い分析,「新しい文化地理学」の影響をうけた文化空間の研究を紹介している。そして中国における観光地理学の近年の進展は,空間的視点の導入が深く関わっている。最後にいくつかの将来的な研究の方向性を述べ,中国の人文地理学の将来的な発展についていくつかの提案を行っている。要約して言えば,近年,応用的な研究についてはかなりの進展がみられたものの,中国の人文地理学研究は理論あるいは方法についての探求についてなお相対的に不十分である。

  • 山田 誠
    2007 年 59 巻 6 号 p. 493-507
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/01/06
    ジャーナル フリー

    本稿は,日本の人文地理学の歩みと,今日それを取り巻く諸条件について紹介する。1910年代から欧米の方法論の咀嚼を通じてしだいに成果を積み上げてきた日本の人文地理学は,今日,新しい立場・対象・方法の研究が若い世代から現れ,また成果の海外への発信の機会も増えている。しかし,伝統的な人文地理学からの過度の断絶もときに見られるのは懸念材料である。

展望
  • 今里 悟之
    2007 年 59 巻 6 号 p. 508-532
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/01/06
    ジャーナル フリー

    本稿では,日本と英語圏における人文主義(人間中心主義)地理学の歴史を,批判的に再検討した。

    日本での事例研究は,主に村落地理学と歴史地理学で展開され,国内で伝統的に培われてきた独自の人文主義的視点も保持されていた。しかしながら,実証科学としての人文主義地理学の核心は,国内外においてしばしば誤解されてきた。

    そのため著者は,トゥアン,レルフ,レイそれぞれの元来のアプローチ,およびフッサールとシュッツの現象学に立ち戻って,基本的な概念と視点を再考し,人文主義地理学をより厳密に再定義した。すなわち,人間の実存空間やその表象にみる共同主観的秩序への注目,人間の理性と感性における普遍性の探究,内部の人間の視点に立った人文学的資料や現場調査資料の利用,人間科学の方法論の哲学的反省である。

    この再定義からみた場合,日本の地理学においても,集落空間の民俗分類の記号論,計量的なテクスト分析,空間や景観に対する認識論の再検討,「人間」対「自然」という西洋流二元論の根本的再考といった形で,方法論上の挑戦が積み重ねられてきたといえる。

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