The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
Online ISSN : 1881-8560
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53 巻, 8 号
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巻頭言
Editorial
特集『疼痛とリハビリテーション』
  • 村上 孝徳
    2016 年53 巻8 号 p. 587-590
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     身体運動機能を高める治療である身体機能訓練は生理学的疼痛に対して有効な手段である.身体機能訓練は認知行動療法の一端として重要な役割を担う.身体機能訓練は神経生理学的に痛みの苦しみを司る内側経路,社会的な痛みを司る前帯状回,島前部,背外側部などの機能を正常化しうるアプローチであると考えられる.

  • 西上 智彦, 柴田 政彦
    2016 年53 巻8 号 p. 591-595
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     痛覚の伝達経路には末梢から中枢へ向かう上行路だけでなく,下行性に痛みを抑制あるいは増強させる下行路もある.本稿では上行路(皮膚,脊髄,体性感覚野および扁桃体)と下行路(state dependent control)に分けて概説し,さらに,それぞれの経路に働きかけるリハビリテーションの臨床応用について言及する.

  • 髙橋 直人, 笠原 諭, 矢吹 省司
    2016 年53 巻8 号 p. 596-603
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     疼痛は主観的なものであり,客観的に評価することは非常に困難である.しかし,痛みの治療を行ううえでは患者の痛みをできるだけ客観的に評価し,分析する必要がある.本稿では,痛みの強さ,痛みの心理社会的因子,および痛みによる活動性,各々の評価における代表的な評価法を解説し,実際の症例の評価を提示した.しかし,現時点ではまだ痛みに対する客観的評価が十分に確立されていない.

  • 川村 博文, 西上 智彦, 伊藤 健一, 大矢 暢久, 辻下 守弘
    2016 年53 巻8 号 p. 604-609
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     本稿では,疼痛に対する治療としての物理療法,運動療法について,有効性に関わる理論的な裏付けから臨床のエビデンスを交えて解説した.急性痛と慢性痛とでは,対応が異なり,急性痛には,過度な不活動は避け,原因となる組織損傷の治療を可及的早期に進めることと,可能な限り疼痛を抑制し長期化を阻止する目的で物理療法,運動療法などを実施することとなる.慢性痛には,感覚面に着目する以外に,情動面や認知面などの多面的・複合的な側面での特性の認識理解が不可欠であり,ADLやQOL向上を目的として,TENSなどの物理療法,運動療法,認知行動療法,ニューロリハビリテーション,学際(集学)的治療を導入することが重要である.

  • 木村 浩彰
    2016 年53 巻8 号 p. 610-614
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     外傷や手術後に四肢の激しい疼痛や腫脹を生じることは,反射性交感神経性ジストロフィーや肩手症候群として知られており,近年,複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome,以下CRPS)として名称が統一された.CRPSの原因は不明で,早期診断と治療が重要である.CRPSの診断は,外傷や不動化の既往と原因から想像できない疼痛,浮腫,皮膚血流変化からなる世界疼痛学会の診断基準が知られているが,鑑別診断のための診断基準も報告されている.CRPSを疑う状況が発生すれば,確定診断を待つことなく直ちに投薬や神経ブロック,リハビリテーションなどの集学的治療を開始すべきである.

  • 松平 浩
    2016 年53 巻8 号 p. 615-619
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     運動器疼痛であることを把握する3か条は以下の通りである.①患者に,指1本で疼痛部位を示させる,②疼痛部位を直接見て触る(左右差がないかを確認),③関節や脊椎を動かしたときに誘発され,その痛みに一貫性があるかを確認する.急性痛では,速やかにその発痛源を同定かつ除痛し,不要な苦悩の助長と疼痛行動を強化させないことが重要である.一方,難治化した慢性痛の治療目的は,「すでに強化されてしまった苦悩と疼痛行動を弱化し健康行動を増やすこと」であり,主役は運動療法である.筆者は,運動療法を3タイプに大別して頭文字をとりACEと総称し,症例に応じて必要なメニューを選択し,その意義を患者に明確に伝え処方することを推奨している.

  • 平田 好文, 後藤 真一, 村上 雅二, 國徳 尚子
    2016 年53 巻8 号 p. 620-625
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     われわれは疼痛に対する脊髄刺激療法(spinal cord stimulation,以下SCS)の適応を交感神経依存性疼痛(sympathetically maintained pain,以下SMP)の観点から捉えることで,治療アルゴリズムを作成してきた.複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS),肩手症候群,脳卒中後疼痛などの神経性疼痛についてSMPとの関連でSCSの成績を検討すると,SCSの有効例はSMPと考えられる症例が多く認められた.また,新しいSCSシステムの導入により,従来無効であった症例もSCSが有効となる可能性が出てきており,SCSは新しい時代を迎えている.SCS適応疾患の選択と新しいSCSシステムの選択により,さらに治療成績の向上が期待される.

  • 生駒 一憲
    2016 年53 巻8 号 p. 626-628
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     脳卒中後などにみられる難治性神経因性疼痛に対し,反復経頭蓋磁気刺激の有用性が報告されている.罹患側運動野に高頻度刺激を行うと除痛効果が得られる.リハビリテーションに難渋する原因となる神経因性疼痛に対し,治療の1つの選択肢となり得る.

教育講座
連載
高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの技術
ISPRM招致活動記録
短報
  • 髙橋 宣成
    2016 年53 巻8 号 p. 642-649
    発行日: 2016/08/18
    公開日: 2016/09/16
    ジャーナル フリー

     痙縮の定義が混乱している.そこで,Lance,島村,田中の定義など,和文文献で多く引用されている定義の相違点を分析した.混乱の要因として,相動性および緊張性伸張反射の区別,静止状態での持続的筋伸張による反射の解釈,rigidityとrigidospasticityの語法,折りたたみナイフ現象の解釈を挙げた.それらの分析を通じ,①腱反射亢進のみでは痙縮とはいえない.②相動性と緊張性の伸張反射は混在し,明確には分離できない.③痙縮筋の長さによっては,動きを伴わぬ持続的伸張でも反射が生じうる.④重度痙縮をrigidospasticityと称するのは一般的な語法とは言い難い.⑤折りたたみナイフ現象は痙縮とは異なる現象であると考察した.以上を踏まえ,Lanceに準じた私案を示した.痙縮とは,上位運動ニューロン症候群の一要素で,伸張反射増強の結果として腱反射亢進を伴って生じる,他動伸張時の速度依存性筋緊張亢進である.

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