末梢気道閉塞を総合的に評価するため, 当科では, closing volume (CV),ΔN
2/L, volume of isoflow (Visov),ΔV
50の各指標をスコア化した合計点 (SAO score) を用いている. このスコア化評価法の妥当性を形態的に証明するため, 慢性肺気腫7例, 気管支喘息13例, その他4例に選択的肺胞気管支造影 (SAB) を行い, フィルム上の1cm区間毎の気道の最大径を最小径で割った値の平均値 (ratio of bronchial diameter, RBD) と比較した. FEV
1.0%とRBDは有意な負の相関 (r=-0.536) がみられた. RBD とCV (r=0.563), Visov (r=0.535),ΔV
50 (r=-0.472) と比較的弱い相関がみられたがΔN
2は相関しなかった. SAO score とRBDとは有意な相関 (r=0.658) が認められた. SAB上みられる輪状陰影直径と肺弾性収縮圧とは負の相関がみられた. 以上よりスコア化法は末梢気道閉塞の機能的診断法として有用と考えられた. また, 気管支喘息の気道閉塞には気道壁そのものの変化が, 肺気腫では肺弾性収縮圧の低下が影響すると考えられた.
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