日本胸部疾患学会雑誌
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24 巻, 12 号
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  • 千代谷 慶三
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1299-1300
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 岩崎 剛和, 津谷 泰夫, 志波 邦夫, 藤本 知久, 東田 有智, 上西 豊基, 岸上 直子, 大石 光雄, 中島 重徳
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1301-1308
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    末梢気道閉塞を総合的に評価するため, 当科では, closing volume (CV),ΔN2/L, volume of isoflow (Visov),ΔV50の各指標をスコア化した合計点 (SAO score) を用いている. このスコア化評価法の妥当性を形態的に証明するため, 慢性肺気腫7例, 気管支喘息13例, その他4例に選択的肺胞気管支造影 (SAB) を行い, フィルム上の1cm区間毎の気道の最大径を最小径で割った値の平均値 (ratio of bronchial diameter, RBD) と比較した. FEV1.0%とRBDは有意な負の相関 (r=-0.536) がみられた. RBD とCV (r=0.563), Visov (r=0.535),ΔV50 (r=-0.472) と比較的弱い相関がみられたがΔN2は相関しなかった. SAO score とRBDとは有意な相関 (r=0.658) が認められた. SAB上みられる輪状陰影直径と肺弾性収縮圧とは負の相関がみられた. 以上よりスコア化法は末梢気道閉塞の機能的診断法として有用と考えられた. また, 気管支喘息の気道閉塞には気道壁そのものの変化が, 肺気腫では肺弾性収縮圧の低下が影響すると考えられた.
  • 鈴木 幹三, 岡野 弘, 立花 昭生, 蒲田 英明, 中田 紘一郎, 望月 博之, 谷本 普一, 本間 日臣
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1309-1314
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過去17年間に経験したサルコイドーシス患者122例の肺機能検査成績について解析した. 各項目の平均値は Stage II の Cdyn60/Cst を除き正常範囲内であり, Stage I 63例, Stage II 58例の2群における比較では, %VC, %DLCO, PaCO2が Stage II で有意に低下した. 各項目の異常率の比較では, 両群間に有意差はみられなかったが, Stage I の12例中6例 (50%), Stage II の18例中11例 (61%)に Cdyn の周波数依存性を認めた. PaO2と Cdyn 60/Cst の間に有意の相関がみられ, Stage I およびStage II におけるPaO2の低下には末梢気道障害の関与が推測された.
  • 羽根田 俊, 山下 裕久, 加藤 淳一, 登坂 聡, 飛世 克之, 小野寺 壮吉
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1315-1324
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    我々はすでに, 生体の血流波形に近似した脈動流を得ることのできるイヌ摘出肺葉灌流系を用いて, 肺血管床における各種血管作動物質の主作用部位を決定できることを報告した. 今回, これらの成績を肺血管入力インピーダンスパターンの変化という面からも確認しようと試みた. 本灌流系にセロトニン (5HT), ノルアドレナリン (NA), プロスタグランディンF (PGF), ヒスタミン (Hist) を投与すると, インピーダンスパターンの変化は5HTとNAでは順行灌流で, PGFとHistでは逆行灌流でより著明であった. モデル実験では, このパターンの変化は主抵抗より近位側のコンプライアンス低下により出現することを確認した. すなわち, 本灌流系における肺葉流入圧上昇に伴う流量波の振幅変化の検討により, 肺血管床における薬物の主作用部位を決定しうることを, 肺血管入力インピーダンスの解析によっても裏付けることができた.
  • 河端 美則, 片桐 史郎, 小山 明, 岩井 和郎, 山本 弘, 大塚 十九郎, 水口 国雄, 大石 不二雄, 寺谷 啓子, 木村 文平, ...
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1325-1333
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺原発小リンパ球性腫瘤6例 (悪性リンパ腫と診断された3例と pseudolymphoma と診断された3例) の臨床的, X線学的, 病理学的比較検討を実施した. この検討の結果両群間にX線学的に差は見い出せず, 又病理学的にも悪性リンパ腫の診断根拠とした壁側胸膜浸潤や他臓器転移を別とすれば両群間に差は見い出せなかった. 以上より両群は同一疾患即悪性リンパ腫であり, 時期の差にすぎないと考えられた. それらの特徴は, (1) 比較的無症状, (2) 炎症反応に乏しい. (3) 胸部X線陰影は非区域性に拡がり, 縮みを伴ない, 内部に空気気管支像を認める. (4) 気管支造影では病変内部で気管支の内腔狭窄や壁不整を認める場合がある. (5) 経気管支肺生検では気管支壁や肺胞壁に小型リンパ球の浸潤をみる. (6) 予後は比較的良好である.
  • 松岡 緑郎, 倉富 雄四郎, 岡田 光子, 小林 英夫, 高橋 英気, 石原 照夫, 北村 諭, 吉良 枝郎
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1334-1338
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシス症108例に対し, 延べ112回の経気管支肺生検 (TBLB) を施行し, 82%に類上皮細胞肉芽腫を検出した. 更に胸部X線病期分類別に, 上葉, 下葉別の肉芽腫の検出率を検討した. 上葉, 下葉別の検出率は, 病期0期で, 34.9% (15/43), 6.7% (3/45), I期で41.1% (37/90), 24.2% (29/120), II期で74.2% (69/93), 48.9% (43/88), III期で68.8% (11/16), 61.1% (11/18) であった. 肺野病変のみの病期III期を除き, 上葉における検出率が有意に高率であった. 以上の成績は, サルコイドーシス症例の病期0期からII期においては, 肉芽腫は上葉により密に分布している可能性を示唆している. 少なくとも, 病期0期からII期においては, 上葉より数多くの検体を採取することが, TBLBによる肉芽腫検出率の向上に寄与するものと考えられる.
  • 永井 厚志, 岡沢 光芝, 滝沢 敬夫
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1339-1344
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    豚膵エラスターゼをラット腹腔内に1回投与後に生ずる気道上皮の形態変化につき, 気道領域別に観察した. 中枢気道においては, 線毛, 微絨毛に膨化, 変形, 短縮の形態異常がみられ, 無線毛細胞の膨隆が目立った. 一方, 末梢気道は本来の形態をほぼ保っていた. 中枢, 末梢気道上皮には, 気道障害因子に対する反応性に領域特異性のあることが推察される.
  • 吉村 邦彦, 中谷 龍王, 蝶名林 直彦, 中森 祥隆, 中田 紘一郎, 谷本 普一
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1345-1353
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    当院で25年間に経験した進行性全身性強皮症 (PSS) 16例 (男2例, 女14例) における肺病変について検討した. 呼吸器症状は13例 (81.3%) で認められ, 主なものは咳嗽, 労作時息切れであった. 胸部X線写真では15例 (93.8%) で経過中肺線維症の所見が確認され, うち9例 (60%) で緩徐ながら明らかに進行が認められた. PSSの初発症状発現から, 肺線維症確認までの期間は平均8.1年であった. 全例で施行しえた肺機能検査では早期より%VC, DLCOおよび静肺コンプライアンスの低下が認められた. 複数回にわたって肺機能検査を施行した例ではVC, FEV1.0%, TLCおよびDLCOとも経時的減少傾向を示したが, とくにVCの減少率 (0.16L/年) が健常者に比し大きく, DLCOのそれ (0.1ml/min/mmHg/年) は正常範囲内であった. 15例で経口コルチコステロイド剤が投与されたが, 肺病変に対して明らかな効果を示した症例は認められなかった. 16例中3例が死亡したが, 死因は1例が肺癌, 他の2例は肺線維症に基づく呼吸不全であり, 発症からの平均生存期間は14.7年であった. 肺線維症はPSSの経過中, きわめて高率に合併し, 緩徐ではあるが進行性で, 本症の予後を左右する病態である.
  • 太田 久彦, 武田 潤, 酒井 正雄, 杉山 圭作, 松岡 健, 高谷 治
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1354-1361
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    3年間にわたって労作時呼吸困難, 咳嗽, 喀痰が徐々に増悪した76歳女性. 胸部X線写真でびまん性の粒状影, 肺機能検査上拘束性障害, V25の低下, 血液ガス分析で低酸素血症を認めた. 寒冷凝集素価も上昇していた. 胸部聴診所見上乾性ラ音と湿性ラ音を全肺野で聴取した. 去痰薬, ネブライザーにて自覚症状は改善した. 8ヵ月後, 労作時呼吸困難, 咳嗽, 喀痰に加えて下痢, 全身倦怠感が著明となった. 大量の下痢に引き続いて発生した hypovolemic shock と呼吸不全のため死亡. 剖検にて多臓器血管壁に著明なアミロイド沈着を認めた. このアミロイド蛋白はAA蛋白であった. 肺は両肺にびまん性に細気管支を中心とした慢性炎症細胞の浸潤を認め, びまん性慢性細気管支炎と診断した. 慢性細気管支炎に続発性アミロイドーシスを合併した報告はこれまで稀であるが, びまん性汎細気管支炎 (DPB) が注目されるとともに, 今後症例がふえるものと思われる.
  • 石原 重樹, 見上 光平, 堤 正夫, 石川 創二, 鈴木 光子
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1362-1365
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は37歳男性. 健康診断の胸部X線写真にて異常陰影 (円形陰影) を指摘され, 精査のため入院した. 症状なく, 鳩などの飼育歴なし. 胸部X線写真で右下肺野のS6bに indentation を伴った結節状の陰影を認めた. 血液, 生化学検査には異常なし. 喀痰培養では結核菌, 真菌, 一般細菌陰性, 細胞診 Class I であった. TBLBは悪性所見なし. PPDは強陽性. 術前確定診断にいたらず, 結核腫または, 肺癌の疑いにて開胸手術を行った. 病巣はS6に存在し, indentation を伴っていた. 病巣の術中スタンプ細胞診にて, 多核巨細胞とその中に辺縁の透明な二重の球体を認めた. 以上から肺クリプトコッカス症と診断し, 右S6区域切除を行った. 切除材料の病理組織学的所見ではクリプトコッカスによる肉芽腫であった. 本症例では, 肺クリプトコッカス症の診断に術中スタンプ細胞診が有用であった.
  • 日吉 徹, 秋山 修, 折津 愈, 松井 泰夫, 鈴木 憲史, 榎本 英壽, 一迫 玲, 藤原 睦憲, 武村 民子, 篠原 多美子
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1366-1372
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸部異常陰影で発見された悪性組織球症 (malignant histiocytosis) の48歳男性の症例を報告した. 2ヵ月間にわたる不明熱とびまん性間質影, 黄疸, 貧血, 肝脾腫を認め入院. TBLB, 骨髄生検より異型細胞の浸潤を認め, 更に免疫組織化学, 染色体分析等の所見より同症と診断. ACNU (塩酸ニムスチン) が奏功し病像の著明な改善が認められ, 肺病変も消失した. 肺病変の合併頻度は3割から4割と言われ, 本症をびまん性間質影を呈する肺疾患の鑑別診断として考慮する必要が示唆された.
  • 森蔭 俊彦, 水島 豊, 矢野 三郎, 櫛渕 統一
    1986 年 24 巻 12 号 p. 1373-1378
    発行日: 1986/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気管気管支軟化症の1例 (55歳, 女性) を経験した. 症例は55歳の女性, 剖検にて以下の病理組織学的所見を得た. 肉眼所見: 1. 気管軟骨は短縮し, 軟骨輪は平坦化していた. 逆に, 膜様部は延長し周径も延長していた. 2. 左右主気管支軟骨は短縮していたが, 膜様部の延長はなく, 周径は短縮していた.
    顕微鏡所見: 3. 気管軟骨は菲薄化し, 一部に骨髄を伴う骨化病変を認めた. また周囲に炎症細胞浸潤を認めた. 4. 気管軟骨の外側に厚い膠原線維層を認めた. 5. 弾性線維は気管軟骨部では保たれていたが, 気管膜様部では消失していた. 6. 気管膜様部では平滑筋層が消失し, 膠原線維に置換していた. また, 一部に炎症細胞浸潤を認めた.
    本症の剖検報告例は世界的にも少なく, 貴重な症例と思われたので報告した.
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