家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
21 巻, 3 号
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  • 百目鬼 郁男, 中原 達夫, 金田 義宏, 山内 亮
    1975 年 21 巻 3 号 p. 89-93
    発行日: 1975/11/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    牛において,排卵後2日ないし15日の黄体期にPGFを連日2回(1回用量0.5~1.0 mg)あるいは1回(用量3~6mg),黄体の存在する卵巣と同側の子宮角に注入して,処置後の黄体の変化にともなう末梢血中progesteroneの消長を追求して,次の成績を得た。
    1) 排卵後2~4日の黄体初期の早い時期に処置した8頭中4頭は処置後8~14日目に排卵した。処置後の血中progesterone値は,A)正常性周期におけるそれとほぼ同様のもの,B)処置後一時減少するが,ふたたび増加して以後A)と同様に維持されるもの,C)処置後暫時増加の傾向を示すが,結局早期に低下するもの,D)処置後いったん低下したのちふたたび増加するが結局早期に低下するもの,などの消長型を示した。
    2)排卵後4日および5日の黄体初期に連日処置した2頭の牛は,処置後4日目に排卵した。血中pro-gesteroneは処置後急激に減少して,2回目の処置後24時間には処置前の1/3の値を示した。
    3)排卵後9~11日の黄体開花期に処置した3頭の牛は,いずれも処置後4日目に排卵した。血中pro-gesteroneは処置後3時間にすでに減少の傾向を示し,24時間後には処置前の値の1/2~1/6に減少した。
    4) 排卵後15日目の黄体後期に処置した2頭の牛は,処置後4日および6日目に排卵した。処置後24時間の血中progesteroneは処置前の値のそれぞれ1/2および1/8以下に減少した。
    5)血中progesteroneの消長は触診による黄体の形状変化とほぼ一致した。
    6)以上の成績から,PGFの黄体退行作用は排卵後5日以降の黄体期の牛ではきわめて顕著であるが,排卵後4日までの間の牛では弱いことが明らかにされた。
  • 村松 隆, 河西 直樹
    1975 年 21 巻 3 号 p. 94-97
    発行日: 1975/11/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    秋田県における1968~71年間の和牛産子記録について性比を調べた。
    性比は黒毛和種52.2±0.43,褐毛和種47.1±0.85,日本短角種51.2±1.23で,3品種の総性比は51.2±0.37であった。褐毛種の性比は他の2品種に比し顕著に低かった。
    種雄牛別性比では,全体で117頭の種雄牛のうち13頭が高または低性比を示した。とくに,褐毛種の2頭では低い性比がみられた(40.1±3.0および31.0±4.3)。
    黒毛種と褐毛種における性比は,人工授精では自然交配よりいずれも低かったが,その差は有意でなかった。
    性比の季節的差異は褐毛種においてのみ有意で,夏に低い性比(43.5)を示した。
  • VI. 排卵数と受精卵の子宮内移送
    筒井 敏彦
    1975 年 21 巻 3 号 p. 98-101
    発行日: 1975/11/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    実験犬135頭について,排卵後1日から70日の間に剖検して卵巣を観察し,黄体数にもとづいて排卵数を推定した。また,これらの実験犬のうち妊娠20~60日のものおよび分娩直後の犬69頭における左右卵巣の黄体数,左右子宮角の胎児数を観察し,つぎの成績を得た。ただし,このうち2頭は1個の卵胞から複数の卵が排出されたと考えられるので資料から除いた。
    1. 排卵数
    実験犬135頭の左右卵巣の排卵数を合わせると2~12個,平均6.0±1.7個(標準偏差)で,左卵巣は3.1±1.4個,右卵巣は2.9±1.4個でほぼ等しく,左右卵巣の排卵機能に有意差は認められなかった。また,発情発現の季節別による排卵数にも有意差は認められなかった。
    2. 受精卵の子宮内移送
    実験犬の全胎児数は黄体総数の88.8%にあたっていた。
    受精卵の子宮内移送は67頭中33頭(49.3%)に認められ,その数は大部分の犬において1個または2個であった。移送の方向は33頭中30頭(90.9%)は黄体数の多い側から少ない側へ,他の3頭(9.1)は左右黄体数が等しい場合であり,排卵数の少ない側から多い側への移送は認められなかった。移送の結果,左右子宮角内の胎児数は均等化する傾向を示した。
  • 横木 勇逸, 小笠 晃
    1975 年 21 巻 3 号 p. 102-105
    発行日: 1975/11/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    垂摘ラットにtestosterone propionateおよびdepot型のtestosterone混合製剤Duratestonを投与し,垂摘後16日目における副生殖器の発育状態ならびに造精機能維持効果を比較し次の成績を得た。
    1) 副生殖器重量維持効果は総用量12,6mgではTP連日投与群とDT連日,2回,1回各投与群間に著しい差違がみられなかった。またTP総用量1.5 mg以上の連日投与群とDT 3 mg以上の2回,1回投与群で,精巣上体を除く他の副生殖器重量は正常対照群のそれに達した。
    2) 精巣重量はTP, DTいずれの投与群,投与量においても正常対照群には及ばなかった。
    3) 精巣における造精機i能促進効果は,総用量12,6mgにおいて, TP連日投与群とDTの連日,2回,1回各投与群間に著しい差はなく,かつ精子細胞は正常対照群と比べてほぼ等しいことを認めた。
    4) 以上の成績からDuratestonは,3mg 1回の投与によって垂摘ラットの副生殖器の発育,6mg 1回の投与によってその造精機能をほぼ正常に維持し得ることを認めた。
    おわりにご校閲をいただいた当場保健衛生研究室中原室長に深謝いたします。またDurateston製剤を提供していただいた三共および日本オルガノン株式会社に深く感謝の意を表します。
  • 鳥居 隆三, 中間 実徳, 柳谷 源悦, 清水 亮佑, 藺守 龍雄
    1975 年 21 巻 3 号 p. 106-112
    発行日: 1975/11/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    The authors presented a simple and effective radioimmunoassay method for bovine plasma androstenedione (4-A'dione), and an assay result of it during gestation period, around parturition, and in postpartum was reported.
    The bovine plasma, 3.0 ml was extracted with methylene dichloride and was subjected to a Sephadex LH-20 micro-column for the separation. The effluent containing 4-A'dione was evaporated and was incubated with an anti-DHEA-3-O•CO-BSA mixture, consisted of 4-A'dione-1-2-3H, pepsin-treated human immune serum globulin, bovine albumin and the antibody. For separation of free from bound 4-A'dione, ammonium sulphate was applied. Each of the accuracy, precision, sensitivity, and specificity test for this assay method revealed quite satisfactory result. This type of method, by which certain two, three steroids can be assayed at one time by a single antiserum may be recommended for clinical diagnostic laboratory use; the authors reported previously1) such an assay method for the three estrogens in bovine plasma by using an estrone-17β-BSA antiserum.
    The plasma 4-A'dione from the time of conception through to the 210th day of pregnancy showed about 100 to 200 pg/ml level, rather in simple pattern, but after the time the level elevated gradually and the maximum levels ranging from 900 to 1, 600 pg/ml were recorded near term. In postpartum, very low levels about 100 or less pg/ml were recorded on the day or the next day of parturition and this state almost continued for the following 6 weeks. The increase of the plasma 4-A'dione which occured in the last trimester seemed to precede the general increase of the plasma estrogens in the late gestation period. This finding and also the assay result of 4-A'dione and estrogens in the plasmas in the feto-placental unit, which had been collected by Caesarian section might suggest that on the 198th and 244th day of pregnancy, secretion of 4-A'dione depended mostly upon the maternal adrenal, though for further reliable elucidations, apparently more of the additional works must be requested.
  • 佐藤 邦忠, 三宅 勝, 吉川 友喜, 神戸 川明
    1975 年 21 巻 3 号 p. 113-115
    発行日: 1975/11/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    1973年4月から1974年3月までの1ヵ年間,5頭の中間種ないし重種の雌ウ•マについて,性周期中は1~3日,妊娠期間中は15~30日間隔で頸静脈から採血し,血中Pをradioimmunoassayにより測定したところ,次のような結果を得た。
    1. 性周期中の血中Pは,発情期(排卵当日)1.039(0.389~1.363)ng/mlと低いが,10日目に9.454(5.361~14.961)ng/mlと最高に達し,以後次回発情予定日に向け急速に減少した。
    2. 妊娠馬にあっては,排卵後15日目13.008(7.005~18.961)ng/ml,その後やや減少するが,20日目(次回予定日)なお5.857(3.176~10.897)ng/mlで,非妊娠のときとは明らかに相違していた。
    3. 妊娠成立から300日目までの血中Pの消長を見ると,15~105日と195~240日の2回に山がある二峰性を示しており,妊娠120~150日までの血中P減少期は,流産警戒期と言える。
  • 橋爪 一善, 菅原 七郎, 竹内 三郎
    1975 年 21 巻 3 号 p. 116-119
    発行日: 1975/11/10
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    妊娠18日に片側卵巣の摘出を行なった動物では,分娩は正常な分娩の分布の後半,すなわち妊娠23日目の午後に多く認められた。一方,これに対し妊娠19日および20日に片側卵巣の摘出を行なうと,多くの動物は妊娠22日に分娩を終了し,対照区に比べ早期に分娩することが観察された。このため妊娠後半期における卵巣の役割が妊娠18日を境として変化することが推察された。妊娠22日において卵巣を片側摘出すると,後分娩発情時の排卵数は妊娠21日午前までに片側卵巣を摘出したものに比べ著しく減少した。また妊娠19日に片側卵巣の摘出を行なうと,48時間後には有意な卵巣重量の増加を認めた。これらのことから,後分娩発情時において排卵する卵胞の数が妊娠21日の午後から22日の朝にかけて決定されることが示唆された。また妊娠後半期においても片側卵巣摘出を行なえば,残留卵巣の代償性肥大を生じることが明らかにされた。
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