拡張型心筋症を対象としたDynamic Caldiomyoplastyの臨床応用により, 術後の臨床症状や心収縮力の改善などが報告されている。本術式の循環補助メカニズムとしては心収縮補助のみならず, 広背筋被覆そのものによる心拡張予防効果や心筋壁応力減少効果などの関与が示唆されている。われわれは, Dynamic Cardiomyoplastyがこれらの相互作用により不全心臓のremodelingにも影響して心臓の拡張を防止し, また心臓の収縮力を改善すると考えている。本術式には被覆した広背筋のconditioningに約2ヵ月を要する点, 原疾患に起因する術後の不整脈死対策として骨格筋刺激装置にautodefibrillatorを内臓することが望まれるなど改善すべき点があるものの, donorを必要としない点, 免疫抑制剤に起因する合併症の心配が全くない点, 侵襲の少ない手術である点などのメリットがあり, 心不全の外科治療のひとつとして期待できる。
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