日本食品微生物学会雑誌
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22 巻, 2 号
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  • 小野 一晃, 安藤 陽子, 川森 文彦, 尾関 由姫恵, 柳川 敬子
    2005 年 22 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    市販鶏肉のカンピロバクター汚染調査を行ったところ, 100検体中49検体 (49.0%) がCampylobacter jejuni陽性であった.その49検体について, 冷凍保存による鶏肉中のCampylobacter菌数の変化をMPN法により調査したところ, -20℃, 7日間保存後の菌数は保存前の検体に比べて1/10~1/100に減少し, 25/49検体 (51.0%) では検出限界未満 (MPN値<15/100g) となった.
    PFGE法により分離菌株の遺伝子解析を行ったところ, 市販鶏肉は単一ではなく複数の遺伝子型の菌によって汚染されていることが示唆され, また, 8/24検体 (33.3%) において, 冷凍保存前後で異なる遺伝子型の菌が分離された.このため, 食中毒事件の原因究明のためには, 食品検体からできるだけ多くの菌株を分離し, 遺伝子解析を行う必要性があることが考えられた.
    鶏肉へのC. jejuni接種試験では, 解凍せずに凍結状態で保存した検体では, 凍結・解凍を繰り返したものよりも菌数の減少がわずかであったことから, 菌の死滅は主に凍結時あるいは解凍時に起こることが示唆された.
  • 小野 一晃, 斎藤 志保子, 川森 文彦, 重茂 克彦, 品川 邦汎
    2005 年 22 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    秋田, 埼玉および静岡の3施設において分離されたヒト, 鶏および牛由来Penner B群, D群Campylobacter jejuniをPFGE (パルスフィールド電気泳動) 法により遺伝子解析を行ったところ, 170株が80型に型別された.このうち15の型についてはヒト-鶏由来株間でそして一つの型についてはヒト-牛由来菌株間でそれぞれ同一の遺伝子型を示した.分離した地域・時期が異なるにもかかわらず同一の遺伝子型を示す菌株が複数認められたことから, 広い地域にまん延し, 繰り返しヒトに感染する遺伝子型のC.jejuniが存在する可能性が示唆された.
    また, UPGMA (unweighted pair group methodwith averages) 法によりクラスター解析を行ったところ, 供試菌株が大きく4つ (IからIV) のグループに分けられた.このうちグループIVでは, 8つのPFGE型についてヒト-鶏由来菌株間で同一の遺伝子型が認められ, 本グループの鶏肉 (レバー) 由来株はカンピロバクター腸炎との関連性が強いことが示唆された.
  • 和田 貴臣, 中寄 幸映, 石橋 弥, 青木 祐子, 川平 幸子, 砂田 亜紀, 村上 和保
    2005 年 22 巻 2 号 p. 72-76
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    現在, 多くの食品企業でStaphylococcus aureusの検査法には直接平板培養法が用いられているが, この方法は検出感度や迅速性に問題がある.本研究ではこうした問題点を改善する目的で, 選択増菌培養後, S. aureusに特異的なspa遺伝子をPCRで検出する方法の有用性を検討した.各種食品200検体について, 増菌培養+PCR法, 平板培養法ならびに増菌培養+平板培養法の3つの方法を用いてS. aureusの検出を行い, 検出感度や検出時間を比較検討した.その結果, 検出率は平板培養法では0.5%であったのに対し, 増菌培養+平板培養法では26.5%, 増菌培養+PCR法では28.0%で, 増菌培養+PCR法は増菌培養+平板培養法とほぼ同様の検出感度を示した.また, 検出時間は増菌培養+PCR法ではおよそ24時間であったのに対し, 他の2つの方法では4~5日を要した.したがって, 本研究で開発した方法は, 食品産業においてS. aureusを検出するのに, 迅速かつ高感度な方法であると思われた.
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