日本食品微生物学会雑誌
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29 巻 , 2 号
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シンポジウム 腸管出血性大腸菌
原著
  • 荒川 琢, 東隆 寛, 萩原 直樹, 西井 重明, 加藤 文男, 井上 浩明
    2012 年 29 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2012/06/30
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    サルモネラ,腸管出血性大腸菌,赤痢菌の検便検査の多数の検体から陽性検体をスクリーニングする方法として,プールした糞便検体から核酸の抽出精製や増菌培養を経ないマルチプレックスPCRでこれらの菌を検出する方法が検討された.
    1) マルチプレックスPCR法を用いることにより,100個の検体をプールした中から,1個の7×104cfu/g のサルモネラ陽性検体を含む場合,1個の7×104cfu/g の腸管出血性大腸菌O157陽性検体を含む場合,1個の4×104cfu/gの赤痢菌陽性検体を含む場合を検出することができた.培養法での検出限界はサルモネラおよび腸管出血性大腸菌O157で7×104cfu/g,赤痢菌で4×105cfu/gであったので,100個以下の検体をプールした場合,マルチプレックスPCRで検出すれば培養法と同等以上の感度で検出でき,スクリーニング法として有効な感度であることが示された.
    2) 他方,マルチプレックスPCRにより死菌が検出される可能性を検証するため,ゲノムDNAを糞便に添加したモデル試料を作製し検出を試みた.その結果,糞便中に添加したゲノムDNAはマルチプレックスPCRでは検出されず,ゲノムDNAが糞便中に溶出した死菌が検出される可能性は低いと思われた.
    3) 実際の検便検体2,000検体を50検体ずつプールしてマルチプレックスPCRで検出しスクリーニングを行った.スクリーニングを行わず培養法で検査を行った場合との相関は,陽性一致率100%,陰性一致率99.95%であった.
    以上の結果より,本研究で検討された方法は,検便検査の多数の検体から陽性検体をスクリーニングする方法として有効であると思われた.
  • 林 志直, 秋場 哲哉, 森 功次, 永野 美由紀, 甲斐 明美
    2012 年 29 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 2012/06/30
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    2009年4月から2010年3月の間に発生したNoVによる食中毒10事例に関連した調理従事者28名から,経日的に糞便94件を採取し,NoV陰性確認試験を実施した.推定原因食品提供後に,NoV陰性が確認されるまでに要した日数は平均21.9日であった.調理従事者28名中17名(61%)は3週間以内に陰性となったが,5名(18%)では陰性確認に4週間以上を要した.NoV排泄が4週間以上続いた調理従事者においては,10日以上経過すると糞便中のNoV遺伝子コピー数が1.7×104~9.6×105/g糞便まで減少し,この状態が3週間から5週間継続した後に陰性化した.NoV食中毒の再発防止のために調理に直接従事する者の陰性確認試験の重要性が示された.
短報
調査
  • 神吉 政史, 川津 健太郎, 服部 武裕, 梶川 智洋, 安達 修二, 北野 芳宏, 太田 優, 飯田 芳人, 山出 敏夫, 久米田 裕子, ...
    2012 年 29 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 2012/06/30
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    われわれは,大阪府の大規模食鳥処理場におけるカンピロバクターの汚染状況調査を4回にわたり実施した.処理作業開始前の施設内ではふき取り検査によりカンピロバクターはほぼ検出されなかったが,処理作業中は施設内のほとんどで検出された.また,チラー水およびまな板についてカンピロバクターの菌数を測定したところ,チラー水の菌数は0~2,300 CFU/ml, まな板は90~>12,000 CFU/100 cm2であり,腸内容物に汚染された食鳥と体が接触し,器具等への交差汚染がかなり起こることがわかった.また,食鳥と体および最終製品の菌数についてはそれぞれ0~8,000 CFU/gおよび0~3,600 CFU/gであった.カンピロバクターの菌数は採取日ごとに変動が大きく,鶏舎間での汚染菌量にかなり差があることが推察された.外はぎ方式ではと体への腸内容物汚染は避けられず,と体ふき取りは常にカンピロバクターに高濃度に汚染されていたため,対策としては,チラー水の適切な温度と塩素濃度の維持,外はぎ方式により漏出した腸管内容物の十分な洗浄・殺菌,定期的な器具の洗浄・殺菌,そして汚染鶏と非汚染鶏の区分処理が重要であると考えられた.
    また今回,バツラー培地とCCDA寒天生培地 (SEL)を用いてコロニー計測法を実施した結果,バツラー培地のほうがCCDA寒天生培地 (SEL) より回収菌数が高かった.
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