日本食品微生物学会雑誌
Online ISSN : 1882-5982
Print ISSN : 1340-8267
ISSN-L : 1340-8267
16 巻 , 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 川端 康之, 戸枝 一喜, 畠 恵司
    1999 年 16 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    変敗したネマガリタケ (チシマザサ, Sasa kueilensis) 水煮缶詰から原因菌の分離を行い, Bacillus subtilisと同定した.分離株 (B.subtilis T-1) を加熱殺菌したネマガリタケに接種し30℃で培養したところ, ネマガリタケが分解するとともにヘミセルロースに由来する単糖とオリゴ糖が遊離した.さらに, この培養液には, β-キシラナーゼやα-L-アラビノフラノシダーゼなどのヘミセルロース分解酵素活性が検出された.以上の結果より, B.subtilis T-1の生産するヘミセルロース分解酵素によってネマガリタケのヘミセルロースが分解されることが示唆された.
  • 中西 陽子, 桜井 直美, 熊田 薫, 小池 和子
    1999 年 16 巻 3 号 p. 163-169
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    S.aureusの迅速検出法として, バイオルミネッセンス法を応用したELISAにより, S.aureus特有のプロテインAを検出する方法が開発され, 迅速検出キットとして市販されたので本キットの有用性について評価を行った.
    1) 本キットにより, 供試のS.aureus95株はすベてS.aureus陽性, CNS35株はすベて陰性と判定され, 従来法での結果と一致した.Staphylococci以外の細菌10株も, 菌数にかかわらず, いずれも陰性と判定された.
    2) 供試のS.aureus菌液を, 本キットで測定した結果は, 約2時間で103~104cfu/mlS.aureusが検出可能であった.また, 104cfu/mlから106cfu/mlの間で, S.aureus菌数と発光量に相関関係があった.
    3) 食品や環境サンプルなどを想定した混合菌検体の試験結果は, 増菌を行わない「直接法」では, 104cfu/ml以上のS, aureus FRI196Eが含まれる場合は, 混在する混合菌による顕著な影響は見られず, 約2時間で判定可能であり, 104cfu/mlから106cfu/mlの間ではS, aureus FRI196E菌数と発光量に相関関係が見られた.一方, 増菌培養を行った場合は, 検体中の混合菌数の増加にともないS.aureus FRI196Eの増殖が抑制される傾向が認められたが, 7時間の増菌培養を行えば, 測定時間と併せて合計9時間で105cfu/mlの混合菌が混在する検体から, マンニット食塩培地では検出不可能な101cfu/mlS.aureus FRI196Eを検出することが可能であった.今後, 増菌時の培地成分や培養方法などに改良を加えることで, さらに迅速性や感度の向上が期待される.
    以上より本キットは, 通常多数の細菌に汚染されていると考えられる食品や環境などの検体からも, 迅速で感度良くS.aureusを検出できる可能性が示された.
    本報の要旨は, 第19回日本食品微生物学会学術総会 (平成10年10月, 神戸) において報告した.
  • 木村 聡一郎, 大野 信子, 福田 晴美, 高橋 治男, 篠山 浩文, 藤井 貴明
    1999 年 16 巻 3 号 p. 171-179
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    The utilization of constituents of an apple fruit as a growth substrate, the production of polysaccharide-hydrolases, and the degradation of fruit tissue by the enzymes were examined with three strains of Penicillium expansum (O-385-10, MR-213-3, and IFO8800)
    P. expansum grew well on an agar plate containing xylan or pectin as a carbon source, and abundantly produced conidiospores. On the other hand, the organism showed poor growth on glucose, fructose or sucrose, and the production of spores was repressed by these saccharides. Cellulose and starch did not support the growth of the organisms.
    Crude enzymes (xylanase and pectinase) were prepared from the culture broths of the organism grown in the xylan and pectin liquid media, respectively. When the small cubes of an apple fruit were incubated with the crude enzymes, these enzymes released a large amount of reducing sugars from the cubes. It was observed that the xylanase degraded cell walls of the fruit and the pectinase separated cells from the fruit cubes .
  • 前原 智史, 中本 成彦, 森河 内巌, 井川 久史
    1999 年 16 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    腸管出血性大腸菌O157の検査に関して, 厚生省はnovobiocin加mEC培地を用いた42℃・18時間培養を公定法として定めている.しかしながら, 最近この条件ではO157の一部の菌株が増菌効果を示さないという報告が相次ぎ, 我々も増菌培地の検討をしたところ, novobiocin (30mg/l) 加TSブイヨンが良好な増菌作用を示した.さらに培養温度を検討したところ, 44.5℃よりわずかに0.5℃ 低い44.0℃ で, しかも3~6時間という短い培養時間で十分な選択増菌効果を認めることが明らかとなった.また, 検出率向上には欠かせない免疫磁気ビーズ法での添加回収試験では10分の反応時間が安定して高い回収率を示した.これらを組合わせた方法が迅速で高精度であることが示唆された.
  • 森 直代, 荒記 俊一, 横山 和仁, 伊藤 武
    1999 年 16 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    原因食品別 (卵, 卵以外および不明) のサルモネラ食中毒の発生に及ぼす気象要素の影響を明らかにする目的で, 1989~1995年の日別サルモネラ食中毒発生の有無を目的変数とし, 5気象要素 (最高, 最低および平均気温, 最小および平均湿度) を説明変数とする多重ロジスティック分析を行った.それぞれの気象要素は, 食中毒発生日, その1日前, 2日前および3日前別の値を用いた.
    卵が原因のサルモネラ食中毒の発生は, 発生日およびその1日前は最低気温, 2日前および3日前は平均気温と正の関係があった (多重ロジスティック分析).同様に, 卵以外が原因の場合は, 発生日, その1日前, 2日前および3日前の最低気温と正の関係があった.さらに, 原因食品が不明の場合では, 発生日およびその1日前は平均気温, 2日前および3日前は最低気温と正の関係があった.
    サルモネラ食中毒の発生には, 原因となる食品の如何によらず, 気温が有意な影響を及ぼすと示唆された.
  • 柿島 安博, 杉枝 正明, 中島 節子
    1999 年 16 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    Small round structured virus (SRSV) genes were detected from 14 of 1, 366 fecal samples which were collected from healthy food handlers working at school lunch facilitiesusing reverse transcription-polymerase chain reaction (RT-PCR) during one year between June 1997 and May 1998. The SRSV genes were detected from two persons after twoweeks but not after four weeks; thus, the excretion of SRSV genes was believed to continue for at least two weeks at least. Analysis of the SRSV gene sequences confirmed that these strains belonged to two different types in genogroup II of Norwalk-like viruses.
  • 塚本 定三, 神吉 政史
    1999 年 16 巻 3 号 p. 197-200
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    A PCR method was developed for the simultaneous detection of Escherichia coli O157 and H7 antigens. Two PCR primer pairs for amplification of both E. coli O157 rfbE and H7 fliC genes, which are necessary for the expression of the O157 and H7 antigen respectively, were performed for the detection of E. coli O157: H7. All Shiga toxin-producing E. coli (STEC) O157: H7 and STEC O157: NM strains were positive for both E. coli O157 rfbE and H7 fliC genes.
    Non-STEC O157 strains were positive only for E. coli O157 rfbE genes and H7 strains except O157 were positive only for H7 fliC genes . Some of the nonmotile strains were positive for H7 fliC genes. No cross-reaction was observed with other E. coli serotypes (except O157 and H7) and other bacterial species, like Salmonella O30 and Citrobacter freundii which react with E. coli O157 antiserum. It is recommended that PCR amplification of both E. coli O157 rfbE and H7 fliC genes is one of the most specific methods for E. coli O157: H7 identification.
  • 尾上 洋一, 龍口 久子, 古川 一郎, 寺西 大, 長谷川 幸江
    1999 年 16 巻 3 号 p. 201-204
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    ATP levels of bacteria in Tryptic Soy Broth with 0.5 to 8.7% (w/w) NaCl (water activity, aw 0.997-0.945) were studied during 3-day incubation period at 25°C by the luciferin-luciferase bioluminescence reaction method. The amount of intracellular ATP per cell of Staphylococcus epidermidis, Escherichia coli and Vibrio parahaemolyticus ranged from 1.3 to 6.1×10-18 mol/cell in the stationary phase. ATP content of bacterial cells varied greatly with age. The changes in aw had little effect upon the amount of ATP.
  • 日佐 和夫, 武政 二郎, 持田 信治, 豊福 肇, 藤原 真一郎
    1999 年 16 巻 3 号 p. 205-210
    発行日: 1999/10/29
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    3例の食品の腐敗・変敗事故事例の発生原因を調査し, 再発防止について考察した.事例1のタイ産冷凍モンゴウイカが黄変した原因は, 漁船の衛生管理や保管・加工での温度管理の不備により, 汚染したPseudomonas sp.が増殖し, 黄色色素を産生した結果であった.事例2のコーヒーフレッシュの凝固では, Flavobacterium sp.またはその近縁菌が原因菌であった.本菌の汚染原因は, 充填機械の保守管理の不備であった.事例3の包装生切餅の加熱による褐変の原因菌はEnterobacteriaceaeであり, 工場の設備構造の欠陥により工場周辺環境から.Enterobacteriaceaeが工場内に侵入し, それが製品を汚染したものと推定された.
    以上の3事例は, いずれも一般的衛生管理要件が不十分であった事例であり, 今後HACCP管理の概念を導入する際にはまず「一般的衛生管理プログラム」は, 確保しておかなければならない要件である.
feedback
Top