チーズから
L. monocytogenesを簡易迅速に検出する目的でPCRを応用する方法を検討した. プライマーはlisteriolysin O遺伝子内の702bpのフラグメントを増幅させる2種類の合成オリゴヌクレオチド (5´-CCT AAG ACG CCA ATC GAA-3´, 5´-AAG CGC TTG CAA CTG CTC-3´) を用いた.
菌接種回収試験の結果, 検体をMEB培地で20時間培養後Oxford培地平板に塗抹し, 24時間培養後発育菌をかきとって鋳型DNAを調製しPCRを行えば, 検体1g当たり10CFU以下の菌量であっても検査開始後2日間で検出が可能であった. この方法を用いて市販チーズ76例 (著者らが過去に
L. monocytogenesを検出し, 長期保存した凍結検体を含む) を検査したところ16例から
L. monocytogenesが検出された. 一方, 従来の培養法ではこのうちの12例から本菌が検出されたにすぎず, 検査期間も5~7日間を要した.
したがって, 二段階培養後にPCRを適用する方法はチーズから
Listeria monocytogenesを簡易迅速に検出するのに有用であると考えられた.
本報の要旨は第13回食品微生物学会 (1992年11月, 東京) において発表した.
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