日本食品微生物学会雑誌
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16 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 塚本 定三, 神吉 政史, 河合 高生, 依田 知子, 久米田 裕子, 柴田 忠良
    1999 年 16 巻 4 号 p. 215-220
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    各種食品から大腸菌O157を検出する目的で検査を実施したところ, 大腸菌O157と共通のO抗原をもつC. freundiiが378件中15件 (4.0%) から分離された.食品別では生鮮魚介類30件中5件 (16.7%) が最も高く, 生野菜類148件中6件 (4.1%), 生肉類89件中3件 (3.4%), その他の食品111件中1件 (0.9%) であった.分離された15株のうち生化学的性状で定型的なものは2株のみで, 他の13株 (H2S非産生を含む) はマロン酸およびズルシットがともに陽性の非定型的なものであった.分離されたC. freundiiのO抗原と大腸菌O157のそれとを免疫学的に比較するためにそれぞれの抗O血清を作製して交差吸収試験を行ったところ, 分離株は定型的, 非定型的にかかわらず大腸菌O157とほとんど同一のO抗原をもっていることがわかった.さらにO157抗原合成遺伝子rfbEとのハイブリダイゼーションを実施したところ, ハイブリダイゼーションの温度が低いと陽性になり, 高いと陰性になることから, 大腸菌O157のO抗原合成遺伝子rfbEと類似したものをもっているのではないかと考えられた.
  • 寺田 厚, 山本 政重, 吉村 栄治
    1999 年 16 巻 4 号 p. 221-230
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    健康成人7名に納豆 (50g/日) を2週間摂取させ, 腸内フローラおよび腐敗産物に及ぼす影響を検討した.腸内フローラでは納豆摂取中にBifidobacterium (p<0.05), Bacillus subtillis (B. natto; p<0.001) は有意に増加し, レシチナーゼ陽性clostridia (p<0.05) の菌数と検出率は有意に減少した.また, 納豆摂取中にEnterobacteriaceaeは減少傾向を示し, Bacillus subtillisの検出率は増加傾向を示した.その他の細菌群の変動は認められなかった.
    短鎖脂肪酸では納豆摂取中に酢酸 (p<0.05), 摂取2週目に総有機酸 (p<0.05) とコハク酸 (p<0.05) は有意に増加した.腐敗産物では納豆摂取中にフェノール, エチルフェノール, スカトール (p<0.05) は有意に減少し, 摂取2週目ではアンモニア, クレゾール (p<0.05) が有意に減少した.pH (p<0.05) は納豆摂取2週目に有意に低下した.
    以上より, 納豆摂取は腸内フローラの構成と代謝活性によって, 腸内環境の改善と便の脱臭効果が示唆された.
  • 坪内 春夫, 宇田川 俊一, 宮部 正樹
    1999 年 16 巻 4 号 p. 231-236
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    オーストラリアから輸入されたイチゴジャムを汚染していた白い菌糸状のカビは, 分離した菌株の生育性状, 形態およびこれまでにわが国において食品から分離・同定された3株との諸形質を比較検討した結果, 子のう菌類ユーロチゥム目のEurotium halophilicumと同定された.
    E. halophilicumの子のう胞子の耐熱性は他の耐熱性菌に比し強くはないが, 60℃で3時間, 65℃で20分, 70℃ で2分の加熱処理では全く効果がなかった.65℃, 30分の加熱処理による生残率は4.5%, 70℃, 10分の生残率は2.4%, 80℃, 2分では1.1%であった.
    E. halophilicumEurotiumの他種と違って白色の子のう果を形成し, しばしば, アナモルフのAspergillusが観察されないことがある.また, 好乾性が極めて強く乾燥食品や水分活性の非常に低い食品に発生するため, このような食品からの分離・同定にはM50YGA, MY50GAなど50%のスクロースを添加した寒天培地を使用するよう慎重な検査が必要である.
    本論文の要旨は第20回日本食品微生物学会学術総会 (平成11年10月, 盛岡市) で発表した.
  • 松根 渉, 石川 和彦, 林 賢一, 辻 元宏, 梅原 成子, 岩崎 由紀, 山田 和枝, 杉山 信子, 児玉 弘美, 橋本 信代, 安田 ...
    1999 年 16 巻 4 号 p. 237-243
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    1998年9月, 滋賀県内においてSalmonella Enteritidisによる食中毒が発生した.同時期に, 本食中毒由来株と諸性状が同一である散発下痢症患者由来のSalmonella Enteritidisが県内全域で多数分離されていた.これらの関連を調査したところ, 薬剤感受性試験, ファージ型別, プラスミドプロファイルおよびPFGE法などの成績により本食中毒事例は広域流通食品を原因とするdiffuse outbreakであったと推測された.
  • 高橋 史生, 川上 英之
    1999 年 16 巻 4 号 p. 245-247
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    Kefir, which is a fermented milk product that was recently introduced in Japan is becaming available for widespread consumption.
    Because there is the effect of controlling the growth of food poisoning bacteria in acid milk, it is expected that the growth of E. coli O157: H7 in kefir can be similarly controlled. When E. coli ATCC or E. coli O157: H7 was cultivated in a pH-neutral condition, the growth of the bacterium was not influenced at all regardless of the presence of kefir. On the other hand, when E. coil ATCC or E. coli O157: H7 was cultivated in pH-acid condition, the growth of these was markedly inhibited. The growth of E. coli ATCC of 109 cfu/ml or E. coli O157: H7 of 107 cfu/ml to which kefir of pH 4 was added was especially completely inhibited in a short time.
    These results suggested that an antibacterial substance to the growth of E. coli ATCC or E. coli O157: H7 was existed in kefir.
  • 中川 弘, 新井 麻奈未, 角野 政弥, 池戸 正成, 小松 理, 伊藤 武, 坂井 千三
    1999 年 16 巻 4 号 p. 249-255
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to evaluate the isolated media of Salmonella and to determine the usefulness of practices used for isolation of Salmonella from food and feed.
    ES Salmonella medium was based on the use of X-GAL enzyme, and compared to other isolated media for detection of Salmonella. A total of 47 Salmonella and various gramnegative and gram-positive bacteria were used for evaluation of the media with testing by the method of Miles and Misra.
    Salmonella Enteritidis was put in liquid eggs, broilers and human feces to compare detection of Salmonella Enteritidis, and the contamination of Salmonella was examined for isolation from those by the selective medium.
    ES Salmonella medium was as effective or better than other commercial selective media such as DHL, MLCB, BG and SMID media for isolation of Salmonella.
    ES Salmonella medium was therefore considered effective for isolation of Salmonella from food and feed, but not from the samples of human feces.
  • 清水 晃, 堀江 理香
    1999 年 16 巻 4 号 p. 257-261
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/07/12
    ジャーナル フリー
    1998年1~6月の半年間, 兵庫県の1スーパーマーケットで市販されていた鶏肉 (100検体) と豚肉 (80検体) について, 黄色ブドウ球菌の汚染状況を調査し, 分離菌株についてPFGEを用いて疫学解析を行った.またエンテロトキシン型別とコアグラーゼ型別も行った.
    1. 菌検出率は鶏肉70検体 (70%), 豚肉29検体 (36.3%) で, 鶏肉が高率に黄色ブドウ球菌に汚染されていた.
    2. PFGEによる疫学解析では, 鶏肉70株は15パターン (A~O) に, 豚肉29株は3パターン (A, P, Q) に分けられ, 特に鶏肉は多様な遺伝子型をもつ黄色ブドウ球菌で汚染されていることがわかった.また, 興味深い所見は, 同一店舗内で販売されていた鶏肉 (18検体) と豚肉 (24検体) のかなりの検体がともに同じ遺伝子型の菌 (パターンA) によって汚染されていたこと, さらにこのパターンA菌は調査期間中, 鶏肉と豚肉から繰り返し検出されていたことであった.
    3. エンテロトキシン産生率は鶏肉で11.4% (A型5株, B型1株, C型2株), 豚肉で13.8% (すべてB型) であった.
    4. コアグラーゼ型別率は鶏肉で90% (63/70株), 豚肉で93.1% (27/29株) であり, その主要なコアグラーゼ型は前者がII型 (25株) とV型 (21株) で, 後者がV型 (21株) であった.
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