諸種の電子加速装置の完成並に原子崩壊産物の生産と共にこれが食糧工業の分野に応用せられ, 米国を中心として殺菌, 発芽防止, 殺虫に関し広範囲の研究がなされて来た。放射線源としては Van de Graaff electrostatic generator 等の加速装置により得られる高電圧のβ線とCo
60, Cs
137等の原子崩壊産物が利用されている。以下の綜説では放射線を食糧工業分野へ利用する場合の基礎的な諸問題の内, 微生物に対する放射線の作用並に生化学的に重要な諸物質 (ビタミン, アミノ酸, 蛋白質, 酵素等) に対する影響について概説すると共に, 応用分野の問題として照射食品の栄養, 衛生的な問題, 放射線の side reaction (主として悪影響) を述べた。更に各種食品に適用した研究例をあげ, 照射設備に関聯して経済的な問題にもふれた。
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