1. 和歌山県, 愛媛県産の産地別みかんについて鉛, ニッケル, 銅, 亜鉛, マンガン, 鉄, マグネシウム, カルシウム, 燐の9元素について多元素同時分析をおこない, いずれの元素についても両産地間において平均値, 及び中央値について有意な差は認められなかった。
2. 環境条件と生体元素分布との関係を追求する上において, 分布型を型別する方法が必要であったので算術平均値, 幾何平均値, 及び中央値をパラメーターとして生体元素の分布型を正規分布型, ジブラ型分布を含むI, II, III及びIV型の4つの分布型に型別する手法について報告した。
3. 分布型別法の手法を用いてみかんの分布型について調べてみると, 産地間については亜鉛において, 和歌山県産はIII型, 愛媛県産はI型と明らかな産地別相異が認められ, また必須元素と考えられる鉄, 銅, ニッケルの元素分布においては両産地において, I型以外の歪んだ分布型が得られた。これらのことから恒常機構が正規分布型を維持する機構であることと, 限られた許容範囲内の環境条件下でのみ, 恒常機構は機能し得ることが示された。
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