1982年4月から1984年3月まで, 大阪市内河川のうち, 12調査定点について, 河川水および底泥の non-Ol
V. cholerae による汚染調査を実施し, 汚染状況と分離菌の毒素原性ならびに薬剤感受性を検討した。
1. 河川水では検体数345件のうち, 276件 (80%) から non-Ol
V. cholerae が検出され, 調査定点のうち, 赤川橋, 桜の宮大橋, 正安橋, 睦橋では約90~100の検出率を示した。底泥では159件中48件 (30.2%) が陽性で, 河川水よりも低率であった。
2. 水系別の汚染状況では, 旧淀川水系の98.2%が最も高い検出率であった。
3. 1982年度および1983年度の月別汚染状況をみると, 高温期の5~10月では, 75~100%の陽性率で12月~3月の低温期では25~79%と低い値を示した。
4. RPLA法による毒素原性試験では, Ol
V. cholerae の患者由来株は100%の陽性を示し, 環境由来株は71.4%で非特異反応は11.4%であった。non-Ol
V. cholerae の環境由来株では, 70.5%が陽性を示し, 非特異反応は8.2%であった。
V. mimicus は30.8%が陽性で非特異反応はみられなかった。
5. RPLA法陽性の49株についての, コレラ抗毒素血清による中和試験では, Ol
V. cholerae の患者由来株は100%, 環境由来株は90%, non-Ol
V. cholerae の環境由来株80%,
V. mimicus は75%がそれぞれ中和され, 毒素産生が確認された。
6. 薬剤感受性試験においてば, Ol
V. cholerae はXP
R・K
Rの2剤耐性で, non-Ol
V. cholerae ではK
Rが79.2%, XP
Rは70.3%で, 耐性パターンではXP
R・K
R2剤耐性は50.8%, APC単独耐性22.7%, XP
R・K
R・APC
Rの3剤耐性が15.0%みられ, Ol
V. cholerae と異なり, 耐性パターンにバラツキがみられた。
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