Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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12 巻, 67 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Hiroto Kawashima, Miyasaka Masayuki
    2000 年 12 巻 67 号 p. 283-294
    発行日: 2000/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    血中を流れる白血球はローリング、接着、血管外移動という一連の過程を経て組織内に浸潤する。この一連の過程は数分のオーダーでおこる比較的早い現象で、そこに関与する分子群が近年急速に明らかにされている。一方、一旦組織内に浸潤した白血球は数時間をかけて細胞外マトリックス成分と相互作用しながら浸潤するが、その分子機構についてはほとんど明らかにされていない (1)。最近われわれは、細胞外基質成分の一つであるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン・バーシカンが、L-セレクチン、P-セレクチン、CD44などの細胞接着分子、およびケモカインと相互作用することを見い出しており、これらの相互作用が白血球の組織内における浸潤過程に関与する可能性を考えている。本稿では特に、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンとセレクチン/CD44/ケモカインの相互作用に焦点を当て、筆者らの研究結果を交えながら概説する。
  • Keiichi Takagaki, Keinosuke Ishido
    2000 年 12 巻 67 号 p. 295-306
    発行日: 2000/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    グリコサミノグリカン (GAG) は血液凝固阻止活性や抗血栓活性のような生理的機能に関与する多くのドメイン構造を有することが知られている。そのような部分の構造と機能との関係を明らかにするためには、検索用モデルとして多くのGAGオリゴ糖を準備することが重要である。本レビューにおいては、エンド-β-N-アセチルヘキソサミニダーゼである精巣性ヒアルロニダーゼの糖転移活性を利用したコンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成法を述べる。糖転移反応の供与体、あるいは受容体として、コンドロイチン (Ch)、コンドロイチン4-硫酸 (Ch4S)、コンドロイチン6-硫酸 (Ch6S)、その他のGAGの組み合わせを変えて反応させると、糖鎖の組み換えが起こる。そこで、この組み合わせをコントロールすることにより、注文通りの糖鎖配列を持ったオリゴ糖の合成が可能となった (図1)。その結果、天然には存在しないようなキメラ型GAGを含めた多くのコンドロイチン硫酸オリゴ糖ライブラリーを作製することができた。このライブラリーは、将来の糖鎖工学における新しい研究展開に寄与するものと期待する。
  • Osami Habuchi
    2000 年 12 巻 67 号 p. 307-319
    発行日: 2000/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    今までにクローニングされたコンドロイチン硫酸の合成に関わる硫酸転移酵素は、コンドロイチン6硫酸転移酵素 (C6ST)、コンドロイチン4硫酸転移酵素 (C4ST)、ウロノシル2-O-硫酸転移酵素 (UA2OST) の3つの遺伝子ファミリーに分類される。C6STのファミリーには、ケラタン硫酸やシアリルラクトサミンのGal残基の6位、非還元末端のGlcNAc残基の6位を硫酸化する硫酸転移酵素が含まれる。C4STファミリーには、非還元末端のGalNAc残基の4位、非還元末端GlcAの3位を硫酸化する硫酸転移酵素が含まれる。UA2OSTは、ヘパラン硫酸のIdoAの2位を硫酸化する硫酸転移酵素との相同性により得られた。硫酸転移酵素のクローニングにより、グリコサミノグリカンと糖タンパク質糖鎖の硫酸化は、同じ遺伝子ファミリーに属する硫酸転移酵素により行われることが明らかになった。これらの遺伝子ファミリーからさらに新たな硫酸転移酵素が見いだされるかもしれない。またこれら以外の新たな遺伝子ファミリーに属する硫酸転移酵素が今後発見されるかもしれない。新たな硫酸転移酵素の発見は、硫酸化糖鎖の生物学的機能を明らかにするのに重要な情報を提供するであろう。
  • 特有の硫酸化パターンと神経細胞機能調節活性
    Kazuyuki Sugahara, Shuhei Yamada
    2000 年 12 巻 67 号 p. 321-349
    発行日: 2000/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    多硫酸化コンドロイチン硫酸 (CS) にはCS-D、CS-E、CS-HおよびCS-Kがあり、いずれもジ硫酸化あるいはトリ硫酸化二糖単位を構成単位として含むという特徴があり、もともとサメ軟骨、イカ軟骨、ヌタウナギ脊索、カブトガニ軟骨といった下等な海産生物の組織にそれぞれ見い出された。我々や他の研究室の研究は多硫酸化コンドロイチン硫酸の構造が脳を含む哺乳動物の組織にも存在することを示している。我々は A. Faissner との共同研究によって、サメ軟骨CS-Dとイカ軟骨CS-Eがラット胎児の海馬ニューロンの突起伸長促進活性を示すことを見い出した。我々はまた、ラット胎児の大脳皮質由来の神経細胞の、ヘパリン結合性増殖因子ミッドカインを介した基質への接着が、ヘパリンだけでなくイカ軟骨CS-Eによっても特異的に阻害されることを示した。さらに、我々は、CS-Eとミッドカインが直接分子間相互作用することも見い出した。最近の他の研究室の研究結果は、ミッドカインとユニークな遺伝子ファミリーを形成しているプライオトロフィンにも多硫酸化コンドロイチン硫酸が結合することを示している。そのような興味深い活性を有した多硫酸化コンドロイチン硫酸からオリゴ糖を系統的に単離し、構造解析した結果、特徴的な様々な硫酸化パターンが明らかになった。これらのオリゴ糖に見い出された非常に多様性に富んだ硫酸化パターンとCS鎖のヘパリン結合性増殖因子との特異的な分子間相互作用は、高等動物にも類似の構造が存在しており、対応する種々のタンパク質との分子間相互作用を介して、神経細胞の接着、移動、突起伸長をはじめとする種々の生物学的現象の調節に関わっていることを示唆している。
  • Yasunori Miyamoto
    2000 年 12 巻 67 号 p. 351-360
    発行日: 2000/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    転写因子は、遺伝子の発現を制御し、細胞の増殖、分化やアポトーシスなどの様々な生物学的プロセスを担っています。近年、様々な生物のゲノム解析が急速に進んでおり、また多数の遺伝子発現を解析するDNAチップなどの技術が急速に進歩してきています。そのため、様々な分野の多くの研究者が遺伝子発現を制御する転写因子についての情報を得る必要が出てきました。その転写因子のデータベースとして「TRANSFAC」があります。本稿では、転写因子に関する情報や遺伝子の転写制御機構の情報検索を行うための実践的でかつ入門的な「TRANSFAC」の操作方法について説明するだけでなく、関心のある遺伝子上の転写因子結合部位を予測するためのプログラムである「MatInspector」についても同様に操作方法の説明を行います。
  • 石原 雅之
    2000 年 12 巻 67 号 p. 361-362
    発行日: 2000/09/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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