立体配座の動的性質について興味がそそられる非天然型オリゴ糖の合成法、立体配座、受容体タンパク質との結合について概説する。合成法については、最近開発された興味深い方法を中心に紹介する。立体配座に関しては、以下にあげる項目を詳しく説明する。-1)
C-グリコシド、
S-グリコシドや
N-グリコシドを含むオリゴ糖類似体は天然型より柔軟な立体配座を持つ。2)カルバ糖や5チオ糖など構成単糖の環酸素原子が他の原子団に置換された単糖を非還元末端側に含むオリゴ糖類似体は天然型とほとんど同じ最安定立体配座を持つ。3)メチレン鎖などによる架橋により最安定立体配座に固定されたオリゴ糖類似体が開発されてきてきる。4)最近、天然型に存在しない立体配座を持つオリゴ糖類似体が開発されきてている。-これらオリゴ糖類似体のうちのいくつかはオリゴ糖受容体との結合能が測定されている。しかしほとんどの場合、天然型と同程度か低い結合能しか示さない。受容体タンパク質と結合した状態での立体配座はほとんどの場合天然型と同様の立体配座を持つが、天然型と違う立体配座で結合するオリゴ糖類似体も見出されている。これらの知見はオリゴ糖を基礎にした医薬品の開発において非常に重要な情報となるだろう。
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