Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
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ISSN-L : 0915-7352
19 巻, 108+109 号
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ミニレビュー
  • Hiroshi Tanaka, Haruo Yamada, Takashi Takahashi
    2007 年 19 巻 108+109 号 p. 183-193
    発行日: 2007/09/02
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    本総説では、当研究室にて、研究してきたワンポットグリコシル化反応を利用した生物活性糖鎖の合成研究について述べる。ワンポットグリコシル化反応は、連続的な化学および、位置選択的なグリコシル化反応を同一反応容器内で行なうことにより、多種類の糖鎖合成ユニットより、オリゴ糖を一挙に合成する手法である。本手法を利用することにより、7つの独立な糖鎖ユニット利用した分岐7糖のワンポット合成が可能である。また、シアル酸を含む糖アミノ酸の合成も可能である。シアル酸含有糖鎖の合成では、シアル酸の5位のアセトアミド基をN-Troc基で置換したシアル酸糖供与体を利用した。また、ワンポットグリコシル化反応と並列液相自動合成装置を利用することにより、糖鎖のコンビナトリアルライブラリーの自動合成を達成した。さらに、得られた保護糖鎖の効率的な脱保護法として、固相脱保護法についても合わせて報告する。
  • Yoshiyuki Adachi
    2007 年 19 巻 108+109 号 p. 195-207
    発行日: 2007/09/02
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    Candida albicans などの真菌の細胞壁には (1→3)-β-D-グルカンが含まれており、樹状細胞やマクロファージに発現するC型レクチンに属するDectin-1はβ-グルカンに結合する膜タンパク質としてそれら菌体の認識に関わっている。しかし、真菌感染あるいは真菌に対応する免疫機構が関連する疾患においてDectin-1がどのような役割を演じているかは明確ではなく、これらを明らかにすることは感染防御や炎症性疾患の発症と対策を考慮するために重要であると考えられる。そこで、Dectin-1のβ-グルカン認識能と細胞活性化における分子機構を解析するために、Dectin-1変異体およびDectin-1モノクローナル抗体の作製、及びDectin-1ノックアウトマウスを使用して、細胞機能への影響を検討した。その結果Dectin-1はmannose/galactose結合性C型レクチンとは全く異なるアミノ酸残基を用いて、β-グルカンを認識することが示された。Dectin-1はTLR2発現細胞においてZymosanによるNF-κB活性化能を促進した。この促進作用はβ-グルカン非結合性Dectin-1変異体では起こらず、また細胞内ITAMモチーフの変異体でも観察されないことから、β-グルカンの認識とチロシンリン酸化が細胞内シグナルに重要であることが示された。一方、チロシンキナーゼSyk、CARD9、Bcl10などのシグナリング分子をさらに遺伝子導入するとTLR2が無くてもDectin-1依存的にNF-κBは活性化された。以上のことから、Dectin-1によるβ-グルカン結合シグナルのみではNF-κBを活性化するには不十分で、Dectin-1以外の受容体からのNF-κB活性化シグナル誘導あるいは細胞内Syk、CARD9の経路も重要であることが示唆された。In vivo 実験モデルにおいて、Dectin-1中和モノクローナル抗体の投与により (1→3)-β-D-グルカンによる抗腫瘍活性は有意に低下した。さらに、Dectin-1KOマウスを用いた研究により、(1→3)-β-D-グルカンの白血球活性化作用は低下し、真菌に対する防御能が低下した。これらのことから、Dectin-1は、(1→3)-β-D-グルカンの認識と自然免疫活性化及び真菌に対する防御因子として極めて重要な受容体であることが示された。
グライコトピック
グライコネット特別記事
  • 北島 健, 菅原 一幸, 萩谷 恵里子, 渋谷 直人, 吉田 圭一, 小川 温子, 原田 陽一郎, 矢木 宏和, 尾形 慎, 服部 武史
    2007 年 19 巻 108+109 号 p. 211-224
    発行日: 2007/11/02
    公開日: 2008/12/12
    ジャーナル フリー
    1997年12月にFCCAおよび生化学工業の共同制作で開始されたグライコワード (GlycoWord) の編集作業は、2006年末をもってひとまず終了した。グライコワードは、ネット上で糖質科学のキーワードを解説する世界初の用語解説集で、コンパクトかつ的確な解説が英語と日本語の両方で読むことができるという特徴をもっており、日本だけでなく世界において大勢の方々に親しみをもって利用されてきた。グライコワードは、掲載開始から今日までの糖質科学隆盛期における役割を終え、今、来るべき新しい発展期における役割を模索する転機を迎えている。
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