Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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4 巻, 15 号
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  • レクチン様白血球接着因子
    Steven D. Rosen, Yasuyuki Imai, Mark S. Singer, Kun Huang, 島垣 昌明
    1992 年 4 巻 15 号 p. 1-13
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    L-セレクチンは、白血球上に広く分布しているカルシウム依存性レクチン様レセプターであり、E-セレクチン (ELAM 1) やP-セレクチン (PADGEM, GMP-140, CD62) などを含む新しく見つかってきた細胞接着タンパク質のセレクチンファミリーに属している。L-セレクチンはリンパ節内の高内皮細静脈(HEV)に対して、血液由来の白血球が臓器特異的に接着する時に関与するリンパ球ホーミングレセプターとして発見された。L-セレクチンは、今や急性炎症部での血管内皮細胞と好中球との相互作用の初期段階に関係していると考えられている。セレクチンに対する内皮細胞や白血球のリガンドはすべてフコシル化されており、機能を持つためにはすべてシアル酸を要求する。L-セレクチンに対するHEVのリガンドは硫酸化、フコシル化、そしてシアリル化されたO-結合型糖蛋白質である。将来の研究の大きな目標は、セレクチンのリガンドとなっている糖鎖の構造を詳細に比較することである。L-セレクチンは血管コンパートメントのなかでの機能に加え、リンパ球や恐らくその他の白血球が中枢神経系髄鞘に付着することも仲介することができる。この後者の相互作用は、脱鞘斑症の病因として病態生理学的な重要性を持っているかもしれない。セレクチンは炎症に関するたくさんの白血球の接着反応に関係しており、さらに研究の重要性が増している。
  • ELAM1とその糖鎖リガンド
    Susan E. Goelz, 佐野 睦
    1992 年 4 巻 15 号 p. 14-24
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    セレクチンは白血球と内皮細胞の接着に関与する接着分子群である。その一つであるELAM1はサイトカインの刺激によって内皮細胞表面に現れ、好中球、単球、好酸球、NK細胞、CLA+メモリーT細胞といった細胞の接着を促進する。 ELAM1は急性及び慢性の炎症性疾患で出現するという証拠がある。さらにELAM1が結腸癌の転移に関与していることを示唆するデータもある。推定されているELAM1のリガンドについて詳しく述べる。現在のところELAM1との相互作用のすべてではないにしろその大部分に、Slex構造そのもの [SAα2, 3Galβ1, 4 (α1, 3Fuc)GlcNAc] ではないかもしれないがその関連の糖鎖構造が重要であることは明らかである。そしてこの構造で、重要なのはシアル酸とフコースである。
  • Eric Larsen, 山形 達也
    1992 年 4 巻 15 号 p. 25-31
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    GMP-140は、接着分子のセレクチンファミリーの一つであり、活性化された血小板や内皮細胞の表面に発現する好中球や単球のレセプターである。これに対応する白血球上のリガンドは、少なくともCD15抗原、つまりラクト-N-フコペンタオースIIIを含む糖鎖である。GMP-140による細胞間結合は組織や脈管系傷害に対する止血あるいは炎症反応にとって不可欠のようである。また、これらの相互作用はアテロ性動脈硬化症や腫瘍の転移のような病理学的過程においても重要らしい。将来の研究でGMP-140とそのリガンド構造-機能の関係と細胞接着の意義が明かとなるであろう。このデータで、これらの相互作用の生物学的重要性を調べる in vivo の研究をデザインすることができるだろう。
  • Martin Grumet, 田中 徹三
    1992 年 4 巻 15 号 p. 32-42
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ニューロン-グリア細胞接着分子 (Ng-CAM) は、ニューロン-リア間及びニューロン-ニューロン聞の接着に関与する。Ng-CAMは、ニューロンにおいて6kbの大きさのmRNAから、先ず約200kDaの大きさの蛋白質として合成され、切断されて135kDa及び80kDaのふたつの構成蛋白質となる。そのアミノ酸配列から、6個のイムノグロブリン・ドメイン、5個のフィブロネクチンIII型繰り返し構造、膜貫通ドメイン、そして細胞内ドメインから構成されていることがわかった。Ng-CAMによる接着は、ニユーロンーニューロン間の接着については同種分子間機構によって、またニューロン・アストロサイト間の接着については異種分子間機構によって行われている。Ng-CAMは、ニューロンやシュワン細胞には発現されているが、アストロサイトではその発現は認められない。発生時に伸長しているニューロン細胞体や、神経形成時の神経細胞軸索にもっとも多く認められる。また、神経系が傷害を被った後にもNg-CAMの発現は増加する。抗Ng-CAM抗体によって、小脳組織培養系での Bergmann グリア細胞に沿った顆粒細胞の移動や、後根神経節組織培養系での神経細胞軸索の束形成が阻害される。ニューロンのNg-CAMは、隣接するニューロンに存在するNg-CAM分子と、またアストロサイトに存在する未だ同定されていないリガンド分子と結合することによって細胞接着に関与する分子である。
  • Richard L. Anderson, John L. Wang, 平林 淳
    1992 年 4 巻 15 号 p. 43-52
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖結合タンパク質35 (CBP35) は、 S-型動物レクチンファミリーのL-30サブグループとして分類されるガラクトース結合性レクチンである。そのポリペプチド鎖 (分子量約35,000)は二つの異なるドメインからなる。一つはN-末端側半分のプロリン及びグリシンに富むドメインで、もう一つはC-末端側半分の糖認識ドメインで毒る。アミノ酸配列を調べた結果、CBP35は別の観点から研究されていた幾つもの蛋白質と同一 (同一種)、あるいは相同 (異種間) であることが判明した。すなわち、(i) 腫瘍細胞レクチンの一種、L-34、(ii) ヒト、およびラットの肺レクチン、HL-29、およびRL-29、(iii) IgE結合性蛋白質、εBP、(iv) 非インテグリン型ラミニン結合性レクチン、LBP、(v) チオグリコール酸誘起マクロファージの細胞表面マーカーの一種、Mac-2等である。実際は同一であるこのポリペプチドが、トポロジーの上では異なる細胞内画分 (細胞質、および核) と細胞外画分 (細胞表層、および培養液) 双方で見いだされているのは奇妙な点であるが、この局在の二面性から、本蛋白の生理機能を探る研究が方向付けられている。つまり、細胞外にあってはラミニンやIgE等の糖鎖をリガンドとする細胞表面レセプターとしての役割、細胞内にあってはリボ核蛋白質複合体の一員として核-細胞質間の運搬を担う役割である。
  • Chitra Biswas, 小川 温子
    1992 年 4 巻 15 号 p. 53-60
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    グリコサミノグリカンであるヘパリン、ヘパラン硫酸は組織中でプロテオグリカンの形で存在し、種々の細胞-細胞および細胞-細胞外マトリックス相互作用に関与する。これら多糖は、強い陰性電荷を持つことと、配列の多様性によって、多数のタンパク質に結合する。三種類のヘパリン/ヘパラン硫酸-結合タンパク質が生理学的に重要であることが知られている。すなわちヘパリン/ヘパラン硫酸結合性成長因子、細胞外マトリックス巨大分子及び細胞表面の結合タンパク質である。この総説では、ヘパリン/ヘパラン硫酸が細胞の挙動に種々の影響を与える際に、それを仲介するような“レセプター”と推定される細胞表面のヘパリン/ヘパラン硫酸結合タンパク質に重点をおき、これら三領域での現在の知識を述べる。
  • William B. Stallcup, Akiko Nishiyama, 大貫 洋二
    1992 年 4 巻 15 号 p. 61-70
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    NG2は、元来ラットの培養神経細胞株で発見された巨大コンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるが、その電気生理学的性質からは、神経細胞由来ともグリア細胞由来とも区別することができなかった。組織切片や初代培養細胞の免疫細胞学的研究により、NG2がOA2グリア細胞系の分裂中の前駆細胞や、間充織起源の未成熟細胞の上に発現されることが判明した。生化学的な解析からは、NG2がまず260kDaのコアタンパク質として合成され、グリコシル化されて300kDaのコア糖タンパク質が完成する事が明らかになった。それぞれのコアに3本から4本のコンドロイチン硫酸鎖がついている事が分かっている。NG2コアタンパク質の一次構造が、cDNAクローンにより決定されていて、遺伝子のこの部分の翻訳領域には、2325個のアミノ酸からなるタンパク質がコードされており、このタンパク質は、大きな細胞外、膜貫通部分、小さな細胞質内の3つのドメインに分けることができる。細胞外のドメインはさらに3つのサブドメインに分けることができる。つまり、システインに富む2つの部分が、セリン-グリシン対に富む部位でへだてられている。細胞外ドメインでは200個のアミノ酸から成る特徴的な配列が4回繰り返されており、この配列の一部分には、カドヘリンのカルシウム結合部位と推定されている部分と類似した配列が存在している。全体的にみれば、NG2の一次構造は他の既知のタンパク質一次構造と殆ど類似性が無く、NG2が今までに知られていなかった膜内在性プロテオグリカンであることを示唆している。
  • Horst Kunz, Wolfgang K.-D. Brill, 石田 秀樹
    1992 年 4 巻 15 号 p. 71-82
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    哺乳動物に見い出される大部分のタンパクは糖タンパクである。それらの糖鎖は生物学的選択性、特に膜上での認識過程に重要な働きをしている。全ての糖タンパクは糖鎖とペプチドとの間にグリコシド結合を有している。それゆえに糖ペプチドの化学合成は、立体特異的なグリコシド結合の生成と、グリコシド結合に影響を与えない選択的な保護が要求される。ベンジルグループとそれらの水素添加による脱離法は、これらの要求を満たす。しかしながら、これらの保護法を用いる方法は糖質の水酸基のブロックを必要とするので、ペプチド部分の官能基は撰択的に脱離可能でそしてベンジル基に対して orthogonal に安定なグループで保護されなければならない。この意味においてフルオレニルメトキシカルボニル (Fmoc) 基と、弱塩基、モルフォリンによる脱離と、パラジウム (0) 触媒によるアリル基転移によって脱離可能なアリルオキシカルボニル (Aloc) 基は、糖ペプチド化学においてアミノ基の保護基として有用である事が明らかにされた。同様なパラジウム (0) の化学を用いるアリルエステルと、酸により除去可能なtert-ブチルエステルはカルボキシル基の保護に有用である事が分かった。ベンジル基とアリルエステル (HYCRAM) を用いる糖ペプチドの固相合成におけるアンカーシステムとして有効に利用される事が示された。
  • Bryan P. Toole, 内山 孝司
    1992 年 4 巻 15 号 p. 83-89
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    胚発生の過程において細胞が移動し増殖する場である細胞外マトリクス中には、ヒアルロナン (ヒアルロン酸) が多量に存在することが知られている。ヒアルアドヘリンと命名されたヒアルロナン結合蛋白質は、これら細胞外マトリクスの構成成分として機能しているものや、細胞外マトリクス中に存在する細胞表面において受容体として機能しているものからなる蛋白質の一グループを構成している。最近の研究によると、これら一群の蛋白質は、ヒアルロナンを多量に含む細胞周辺マトリクスの構築に関与し、細胞の行動に関しては、特に細胞の移動と凝集に関係していることが明かにされている。発生初期の肢芽の中胚葉細胞はヒアルロナンを多量に含むマトリクスで覆われており、その合成は塩基性繊維芽細胞成長因子 (FGF) によって制御されている。肢芽中胚葉の軟骨及び筋肉形成の領域で、組織分化に先立って細胞が凝集する際、細胞のヒアルロナン合成は低下し、その結果、細胞間の空間はより狭くなる。肢芽内のFGFレベルも、この時、減少するが外胚葉で生産されるFGF様の因子により、肢芽周辺部分に存在するヒアルロナン量は高濃度に維持される。また細胞凝集が起こる時期には、中胚葉細胞の表面に存在するヒアルロナン結合部位も増加する。この結合部位に結合している内在性ヒアルロナンは、その多価結合性のために、隣接する細胞どうしを架橋し、お互いを接着させることができる。このように細胞凝集は、少なくとも部分的には、ヒアルロナンと細胞間の相互作用で見られる次の三つの過程で説明することができる。第一は、細胞周辺にすでに存在しているヒアルロナンの受容体を介したエンドサイトーシス、第二は、ヒアルロナン合成の低下による細胞周辺層 (マトリクス) 形成の停止、第三は、ヒアルロナンと受容体の間の架橋による凝集状態の安定化である。凝集した中胚葉が軟骨へ分化する間も、ヒアルロナン結合部位は細胞表面に存在し続ける。このヒアルロナン結合部位もまた、軟骨細胞を覆う細胞周辺マトリクスの構築に必要不可欠なものである。
  • Ronald Schnaar, 東 秀好
    1992 年 4 巻 15 号 p. 90-98
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    精製法や構造や機能の解析の技術が発達したことによって、細胞表面の糖脂質の生物学的役割が明らかにされつつある。この細胞表面の複合糖質の主要成分が重要な細胞認識や細胞制御の現象に関係しているという仮説が繰り返し示されている。特異的な糖脂質が多様な細胞認識機構に関与しているので、その作用の機構を解明するための研究が行われ続けなければならない。これらは、次の二つの体系にまとめられるように思われる。近傍の別の膜に存在する相補的受容体と糖脂質の相互作用 (トランスの認識) と、同じ膜上の蛋白質の活性の調節 (シスの制御) である。これらの機構が組み合わされることによって、糖脂質の認識が細胞の生理機能の制御に結び付けられているのであろう。
  • Tsunetaka Ohta
    1992 年 4 巻 15 号 p. 99-105
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    哺乳動物において、グルコースの摂取とその血漿中の濃度の維持は特異的なトランスポーターによって行われている。現在、2種類のグルコーストランスポーターの存在が知られている。Na+との共役によってグルコースを濃度勾配に逆らって能動的に輸送するNa+依存型グルコーストランスポーター (SGLTs)と、促進拡散型グルコーストランスポーター (GLUTs) である。これらのグルコーストランスポーターは、細胞の分化、癌化及び糖尿病等幾つかの疾病にも関与していると考えられているが、その機構は未だ明らかではない。分子生物学的手法の導入により、1985年に赤血球型グルコーストランスポーター (GLUT-1) のcDNAがクローニングされて以来、その後の5年間に5種類のGLUTと1種類のSGLTのcDNAがクローニングされた。これによって、グルコーストランスポーターのアミノ酸配列、細胞膜上での配置及び染色体上の位置など多くの事柄が明らかになった。今や、グルコーストランスポートの制御機構を分子レベルで研究することが可能になっており、研究は新たな局面を迎えようとしている。
  • 掛樋 一晃
    1992 年 4 巻 15 号 p. 106-107
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 瀬古 玲
    1992 年 4 巻 15 号 p. 108-109
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Shridhar P. Damle, 山形 達也
    1992 年 4 巻 15 号 p. 110-111
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 清原 寛章
    1992 年 4 巻 15 号 p. 112-113
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Li JI, 張 谷
    1992 年 4 巻 15 号 p. 114-115
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Taichi Usui
    1992 年 4 巻 15 号 p. 116-122
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • Kiyoshi Furukawa
    1992 年 4 巻 15 号 p. 123-127
    発行日: 1992/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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