目的 ポリキシリレンァジパミドの延伸糸について, 紬弛移状態で乾熱処理を行い, 収縮率と処理温度のArrhenius型プロットによって認められる屈曲点と微細構造の関係すなわち熱収縮機構を明らかにしようと試みた.
成果 1. 収縮率と処理温度のArrhenius型プロットには75,110および190℃に屈曲点が認められ, 一方複屈折, 結晶配向度, 非晶配向度と処理温度 (絶体温度) の逆数のプロットには50, 70,110および180℃に屈曲点が存在し, 両者は良い対応を示す.
2. 50℃は微量水分の吸湿状態での前駆的ガラス転移温度と考えられ吸湿した非晶部分において非晶分子鎖の配向緩和がはじまる温度であり,50~75℃領域の収縮は吸湿した非晶分子鎖の配向緩和に帰せられる.
3. 75℃付近の屈曲点は本来のガラス転移温度で,75~110%領域の収縮は非晶分子鎖の配向緩和とfolding type結晶化にともなう非品分子鎖の緊張収縮に帰せられよう.
4. 110℃の屈曲点はα1分散(crystal grain boundary relaxation)に相当し,110~190℃領域の収縮は主としてfoldingtypeの結晶化にともなう非晶分子鎖の緊張収縮によるものと考えられる.
5. 190°Cの屈曲点はα2分散(crystal disordering relaxation)に相当し.不完全結品部分の融解と分子鎖の再配列がはじまる温度で,190~235。C領域の収縮はそれに起因する非晶分子鎖のランダム配向化によるものと推定される.また235℃は融点である,
抄録全体を表示