目的 繊維集合体の一つである布の圧縮特性について, 前報で提案した圧縮過程の3段階モデルにおける各段階のパラメータの意味を明確化し, これらのパラメータの実用性を検討するため, 布の圧縮実験で求めたパラメータにより, 布の分類を行う.成果 (1) 布表面を圧縮する場合には表面繊維の曲げ形式により, 布の圧縮曲線の初期部分から得た回帰係数b1はスパンあるいはフィラメントかの, 糸構造と関連している.経験式として, 圧縮第2段階曲線の回帰方程式y=a2・eb2・x+c2を提出し, 圧縮―変形曲線がこの経験式に極めて近似することを確認できた.この経験式の係数b2は圧縮変形量と関連があり, c2は圧縮線形性LCと関連がある.布圧縮の第3段階曲線の回帰係数b3は布を構成する繊維素材の圧縮特性と関連している. (2) 圧縮の各段階で得られたパラメータを用いてクラスタ分析を行うことにより, 布の分類が明確化された.スパンとフィラメントとの糸構造別に分類する場合にはb1, b2, LCが最も適切である.ウール, シルク, ポリエステルとコットンの素材別の布を分類する場合にはb2, b3, RCが最も適切である.
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