紡績の混打綿工程において用いられるベールオープナの開繊歯先の摩耗がタフトの大きさに与える影響を, タフトかきとり試験装置による実験と実際の紡績工場における調査によって解析した.この結果, 次のことが明らかになった.
1) 試作試験器 (タフトのかきとり装置) による実験では, 歯先が摩耗すると, かきとられるタフトの大きさは小さくなり, その歯先の摩耗度合が増すと, タフトの大きさは小さくなる.
2) 実際の紡績工場における調査では, 歯先が摩耗すると, 開繊タフトの大きさは, 極端に大きな綿塊から, 小さな綿塊までばらつきの幅が拡がり, その結果, 平均値もCV値も大きくなる.
3) 上記1) と2) の違いは, 次の理由による.すなわち, 実生産機械では, 開繊状態とは無関係に, オープナに対してベールを一定の速度で供給しており, 歯先がベール面にくい込む寸法を確保した試験器による結果とは根本的に相違している.
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