目的 : 香りと被服の適合性の認知とそれらのイメージの一致度との関係およびどのような種類のイメージがその一致に関与しているかを検討する.さらに, 香りと被服の適合度の認知に対して, それらのイメージの一致度と香りへの好悪がどのように影響しているかを分析する.成果 : 形容詞対11尺度を用いて測定した香り5種, 被服5種のイメージの評定平均値からなる10行11列の矩形マトリックスを入力データとして多次元尺度分析を行い, カジュアル/フォーマル, 派手/地味の二つの次元を抽出した.これらの次元から構成されるイメージ空間への香りと被服の布置状態から, フルーツ, シトラス, グリーンとジーパンは, カジュアル, 軽い, 新鮮というイメージで捉えられ, フローラル, オリエンタルとスーツ, ネグリジェは大人っぽい, 保守的なイメージで捉えられていることが分かった.次に, 適合度の認知に対するイメージの一致度と香りの好悪の影響を重回帰分析した結果, フローラルの香りに対しては, イメージの一致度だけが寄与し, その他の香りに対しては, イメージの一致度と香りの好悪の一方, あるいは両方が適合度の認知に影響していることが分かった.
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