目的 最近の合成繊維製造技術の進歩に伴い, テークアップワインダの巻取速度は非常に高くなり, その結果, ワインダの振動特性を十分に把握することの重要性が増した.ワインダを力学的にみれば, パッケージ回転軸系と接触ローラ系とから成り立っており, これらがパッケージの動力学的性質を介して連成振動を行う.この連成系の振動挙動を把握するため, 集中定数系の力学モデルを誘導し, 実際のパッケージの動力学的性質を使って解析する方法を提案した.成果 実際のワインダに対して, 理論解析および実験を行い, 以下の結果を得た. (1) ここで導入したテークアップワインダの力学モデルは, ワインダの基本的な振動挙動を十分正確に表現できるものである.(2) ワインダの連成固有振動数のなかには, パッケージ回転軸単独の固有振動数にほぼ等しいものが必ず1個存在する.(3) パッケージ回転軸系の連成固有振動数には, 上記のものよりも高い固有振動数が存在し, パッケージの動力学的性質の影響を大きく受ける.(4) 上記の2個の固有振動数はパッケージの巻太りに伴って大きく変化するが, 他の固有振動数はほとんど変化しない.(5) ワインダの固有振動数の中には, 各部分を独立した振動系と考えたときの固有振動数とはかなり異なっているものがあるので, 注意を要する.
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