目的 インターレーサ内の糸の運動を明らかにするため, 加工時の糸を高速度カメラで撮影し, 糸の位置の時系列データをデジタイザによりコンピュータに入力して解析する.成果 (1) 開繊部の生成する位置は, 糸が噴流を直接受ける空気噴射ノズルの近傍に限られ, その両端に交絡部が生成する.(2) 空気噴射ノズル位置における糸の運動は, バルーニング運動と噴流軸を横切る運動に大別できる.糸道管の左半分で空気流の回転方向と同じ方向にバルーニング運動をしていた糸は, ほぼ一定時間後に噴流軸を横切って糸道管の右半分に移動し, 右半分で逆方向のバルーニングを続ける.そして糸は一定時間後に再び噴流軸を横切って糸道管の左半分に移動する.糸の軌跡は8の字の変形である.バルーニングの方向は, 噴流軸を境にして糸道管の左半分と右半分で反対で, 空気流の回転方向に一致する.(3) 糸道管内端部付近では, 糸のバルーニング運動は加工条件によって異なり, 糸は糸道管の左半分と右半分のそれぞれにおけるバルーニング運動をしたり, あるいは糸道管全体にわたって空気流の回転方向とは無関係にバルーニング運動をする.糸道管外では, 空気圧, 糸速, フィード率が大きいほど変域は増す.(4) 糸の運動は, 空気噴射ノズル位置に関して糸道管軸方向にほぼ対称である.空気噴射ノズル位置にある糸の運動に追随して他の位置の糸は運動し, 空気噴射ノズル位置に近いほど, 又, フィード率が小さいほど, 追随の程度は大きい.(5) 糸のバルーニング運動の周期は, 糸道管内では小さく, いずれの加工条件でも同じ値0.4msを取る.糸道管外では, 比較的大きく, フィード率が大きいほど糸はゆっくり振動する.(6) 空気圧, 糸速が小さいほど, 糸が噴流軸を横切る回数は多い.フィード率が小さいほど, 糸は糸道管軸付近に位置する.空気圧, フィード率が大きいほど, 空気噴射ノズル位置の糸は, 噴流出口付近には一瞬しか位置せず, 噴流出口より離れた所により長時間にわたって位置する.
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