目的 レーザドップラ速度計 (LDV) を糸速測定に適用した場合の出力信号特性を明らかにする.とともに, よこ入れ試験機を用いて, よこ入れ過程の糸速変化の全般的な状況, 噴射終了段階の糸速変動状況, 並びにノズルの噴射条件とこれらの状況との関連性について調べる.成果 ドップラ信号の特性は糸の表面状態に依存し, 紡績糸の場合毛羽がシードの役割を果たすため, フィラメント糸に比べSN比が良好である.又, トラッカ出力 (速度信号) には10kHzに及ぶ不規則なノイズが重畳しており, 糸速波形の観測を行うに際しては高周波数域のノイズをローパスフィルタにより除去する必要がある.よこ糸にポリエステル・綿混紡糸45s (P/C45s) を用いた場合, このノイズは約2m/s (rms) 程度で, 2kHzのローパスフィルタを用いるとそのレベルは半減することが明らかとなった.エアプール方式において, グリッパ開放開始時及び自由噴射終了時には, 張力波の伝播に起因する特徴的な糸速変動が生じている.又, 飛走中の糸のゆるみ量及び自由噴射終了時の張力ピーク値の低減には, 供給速度をよこ入れ前中期で高め, かっ自由噴射後期で減らすように設定することが有効である.このような供給速度はメインノズルの圧力をよこ入れ前期で高めることにより実現できるが, 紡績糸 (特に単糸) の場合には解撚による糸切れの問題もあり注意を要する.
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