目的 プラズマ重合による繊維の表面改質は報告例が少なく, 特に羊毛を用いた場合に関してはほとんど報告されていない.本報では羊毛を基材として, フッ素化合物をモノマーとして用いた場合のプラズマ重合を行い, 生成した重合層が防縮性にどのように影響するかについて検討する.成果 フッ素化合物を用いてプラズマ重合した羊毛織物では非常に良好な防縮性が得られる.羊毛のプラズマ処理あるいは通常の化学的な加工による防縮性は羊毛表面を親水性とするが, フッ素化合物のプラズマ重合を行った場合は, はっ水性となり, 非常に防縮性が良好となる.単繊維の摩擦係数を測定した結果, 酸素等のガスを使用したプラズマ処理羊毛とは異なる機構であると考えられる.テトラフルオロエチレンをプラズマ重合した羊毛ではスケール先端が重合物によって丸くなり, 形態的な要因が防縮性に大きく影響していると考えられる.しかし, ヘキサフルオロプロピレンを用いた場合は形態的な変化はなく, 表面の化学的な影響が大きいと考えられる.
抄録全体を表示