日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
24 巻, 9 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 荒井 他嘉司
    1986 年 24 巻 9 号 p. 941-942
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 慢性肺気腫症例と肺結核症例の検討
    長谷部 直幸, 小野寺 壮吉, 大宮 博士, 田中 美奈子, 坂本 久仁代, 本田 泰人, 池田 裕次, 坂井 英一, 桑島 核
    1986 年 24 巻 9 号 p. 943-950
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺高血圧を呈する慢性呼吸不全患者 (肺気腫症 (CPE), 結核症 (TB)) の循環動態におよぼす, 酸素および nifedipine の急性効果を検討した. 酸素投与時, 平均肺動脈圧, 肺血管抵抗は両群とも有意に低下し, 他の循環諸量は不変だった. nifedipine 投与時, 両群とも肺血管抵抗の低下, 心係数, 体酸素供給量の増加を認めたが, 平均肺動脈圧は不変であり, 酸素追加によりCPE群では有意に下降したのに対し, TB群ではなお不変だった. 肺循環駆動圧と心係数の関係は, 両者併用時, CPE群で右下方に向かうのに対し, TB群では右上方に向かった. 両群の差は, 肺高血圧成立機転の相違および病歴の長さに基づくものと考えられ, TB群では肺血管床の絶対的減少ないしは, 反応性の減弱が示唆された. 慢性呼吸不全患者の肺高血圧症において, 酸素および nifedipine による循環動態変化が, 肺高血圧成立機転の相違を反映し得ることが示唆された.
  • 千田 金吾, 佐藤 篤彦, 福本 哲夫, 山下 昭
    1986 年 24 巻 9 号 p. 951-958
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ヒトの肺胞マクロファージ (A-Mφ) 及び気管支随伴リンパ組織 (BALT) 内マクロファージの分化・成熟機序と機能を検討するためのマーカーとして, ヒトA-Mφ表面抗原を特異的に認識する単クローン性抗体の作製を試みた. 成人の気管支肺胞洗浄液細胞 (BAL-cell; Mφ≧95%) を抗原として, BALB/cマウスを過免疫し抗体産生性脾細胞を準備した. 細胞融合法により, ヒトA-Mφ表面抗原と反応する単クローン性抗体産生細胞株を得た. 抗体の性状は, 細胞性ラジオイムノアッセイ, レーザーフローサイトメトリー, 酵素抗体法で検索した. 単クローン性抗体, AMH-1は, 末梢血単核球 (単球, リンパ球, 顆粒球) 及び腹腔内Mφとは反応せず, 肺内Mφ(A-Mφ, BAL-Mφ) の一部と特異的に反応するものであり, 認識している細胞表面抗原は, OKM1と異なるもので, 従来報告されている抗体に比して分化の進んだ表面抗原を認めている可能性が示唆された.
  • 竹内 実
    1986 年 24 巻 9 号 p. 959-969
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    DPB症例にみられる反復する気道感染の機序の解明の一つとして, 末梢血NK活性とLeu-7+細胞およびLeu-11+細胞の比率との関連性を中心に, その動態について, 健常人, PE症例を対照として比較検討した. DPB症例では, 健常人, PE症例に比較しNK活性の低下を認めたが, Leu-7+細胞およびLeu-11+細胞の比率には変動を認めず, またNK活性とLeu-7+細胞およびLeu-11+細胞の比率との間には相関性を認めなかった. 一方, PE症例では, NK活性は高値を示し, Leu-7+細胞およびLeu-11+細胞の比率が増加していた. DPB症例のNK活性低下とその発症機序としては, IL-2の関与は考えられず, またNK細胞自身の欠陥によるものでもなく, むしろγ-IFN産生能の低下によりNK活性の低下が誘導され, 結果としてDPB症例に見られる反復する気道感染が惹起されることが強く示唆される成績を得た.
  • 金森 一紀, 魚谷 浩平, 高倉 文嗣, 西岡 真二, 越野 健, 藤村 政樹, 中積 泰人, 岡藤 和博, 松田 保, 上尾 友美恵, 柴 ...
    1986 年 24 巻 9 号 p. 970-976
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    健常者および非発作期の気管支喘息患者を対象に深吸気の影響を検討した. Maximum expiratory flow-volume curve のV25をMEF25, これと同一肺気量における partial expiratory flow-volume curve のVをPEF25とし, Deep Inspimtion (DI) Index=(PEF25-MEF25)/PEF25を求めた. 健常者では若年者の DI Index は負となり深呼吸による気道拡張効果が認められたが, この効果は加齢とともに減弱し, 50歳以上では DI Index は正の値になった. 抗コリン剤吸入後には DI Index は有意に増加して正の値となり年齢差は認められなくなったことから, 若年者では迷走神経の緊張が強く気道の resting tone が収縮性に保たれていることが推測された. 気管支喘息のうち40歳未満で%FEV1.0≧70%の患者では DI Index は負となり, 抗コリン剤吸入後には有意に増加して年の値となったことから, 気管支喘息でも深呼吸の気道拡張効果は存在し迷走神経が関与していると考えられた.
  • 門田 淳一, 朝長 昭光, 山田 耕三, 福島 喜代康, 中島 学, 平谷 一人, 植田 保子, 広田 正毅, 斉藤 厚, 原 耕平
    1986 年 24 巻 9 号 p. 977-984
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    当科に入院した間質性肺疾患患者51例とその他の各種呼吸器疾患193例の計244例における好中球スーパーオキサイド産生能を測定し, 今回はとくに間質性肺疾患での好中球スーパーオキサイド産生能を検討して興味ある知見を得た. 特発性間質性肺炎患者19例の平均は6.06±2.62nmol/5×105PMNs/min. と, 健常人および他疾患群に比し高い傾向を認めた. また, ステロイド投与を必要とした間質性肺疾患群の好中球スーパーオキサイド産生能は, ステロイドを必要としなかった群に比し有意な高値を示した (p<0.01). 検査所見との関係ではPaO2とA-aDO2に軽度の相関を認めた. 原発性肺癌患者に放射線治療を行い, 放射線肺炎を併発した7例のスーパーオキサイド産生能は10.0nmol以上の異常高値を示した. 間質性肺疾患や放射線肺炎の症例で, ステロイド減量中に病状の再悪化を来した数例では, 好中球スーパーオキサイド産生能の再上昇がみられた.
  • 内田 耕, 足高 毅, 河村 康明
    1986 年 24 巻 9 号 p. 985-990
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    90%酸素を, 慢性肺疾患患者に吸入させ, 換気, 血流および右室駆出分画の変化をラジオアイソトープ法で測定した. 換気分布は133Xeを, 血流分布および右室駆出分画は81mKrを用いて測定した. 換気および血流像で異常を認めない部位を正常部, それら異常所見を有する部位を異常部とし, それぞれに関心領域を設けて検討した. 換気分布は正常部, 異常部ともに酸素吸入前後で変化がなかったが血流分布は正常部で減少傾向を示し, 異常部では有意に増加した. これは換気血流比が正常部で増加し, 異常部で減少することを示唆した. 右室駆出分画は酸素吸入により有意な変化はなかったが, 心拍数は高い有意差で減少し, 分時右室拍出量が減少することが示唆された. 以上より, 正常部では血流分布の減少と心拍出量の低下により換気血流比が増加して死腔様効果が生じることが示唆された.
  • 山本 眞志
    1986 年 24 巻 9 号 p. 991-998
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎 (IIP) の患者11症例を対象として気管支肺胞洗浄を行なった. 採取した気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中の細胞を分類し, BALF上澄中フィブロネクチン (FN) を酵素抗体法 (EIA) で測定した. またIIP症例の肺組織中FNの局在を免疫組織学的に観察した. IIP由来のBALF中のFN/Alb. 比は健康志願者より有意 (p<0.05) に高く, さらに細胞分画ではリンパ球比率が増加していた. また, IIPの7例中5例においてBALF中リンパ球比率とFN/Alb. 比のあいだに正の相関が認められ, IIPの病態とFNとの関連性が強く示唆された. 典型的なIIP症例の剖検肺では間質に多数の単核細胞浸潤と膠原線維増殖に伴う肥厚が観察され, この部に一致して広く分布するFNの局在が明らかでかった. 以上の結果から, 下気道局所のFNならびに炎症細胞の動態がIIPの病態に強く関与しているものと考えられた.
  • 坂口 和成, 山下 英俊, 荒木 良彦, 小幡 泰憲, 澤田 雅光
    1986 年 24 巻 9 号 p. 999-1007
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺性心の予後を改善する手段としての血管拡張剤の有用性を検討した. 容量血管拡張剤である isosorbide dinitrate は前負荷低下による心拍出量低下により組織酸素化が悪化する危険性はあるものの, 肺血流量減少により肺高血圧を低下させ右室仕事量を軽減させた. 抵抗血管拡張剤である nifedipine は右室後負荷低下により心拍出量を増加させ, 組織への酸素運搬能を増加させた. captopril は上記2種の特徴を有する balanced type の血管拡張剤であり, 体血圧低下にもかかわらず心拍数の増加は認めない特徴を有していた. これらの薬剤が肺性心の進展を防止し, 肺性心の予後改善の一助となり得るか否か, 今後の検討を重ねたい.
  • 光定 誠, 工藤 翔二, 油谷 浩幸, 平山 雅清, 植竹 健司, 鈴木 俊雄, 木村 仁, 深山 正久, 小池 盛雄
    1986 年 24 巻 9 号 p. 1008-1012
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    高コレステロール血症を伴い, 区域気管支肺胞洗浄期間に一致して, 血清LDH値, コレステロール値がほぼ併行して低下した肺胞蛋白症の1例を報告した. 症例は53歳, 女性. 昭和57年1月頃より夜間の乾性咳嗽が増強し, 労作時息切れを自覚, 胸部X線写真で両側下肺野に微細な斑状影を認め同年7月入院, 経気管支肺生検にて肺胞蛋白症と診断した. 気管支ファイバースコープ下に区域気管支肺胞洗浄を施行し, 自覚症状の改善をみたが検査成績に有意な変化はえられなかった. 患者は高コレステロール血症を伴っていたが, 洗浄期間に一致して血清LDH値, コレステロール値がほぼ併行して低下した. この成因について単球, マクロファージ系による scavenger pathway の関与と肺胞洗浄によるその活性化の可能性を推論した.
  • 加藤 修一, 桐井 宏一, 長内 和弘, 佐藤 忍, 高橋 敬治
    1986 年 24 巻 9 号 p. 1013-1017
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    33歳の男性が塗装業の手伝いをはじめてから2・3日後に夜間乾性咳嗽と発熱をみたが翌朝には軽快した. その後も同作業に従事すると同症状が出現し, 作業回避によって軽快するというエピソードを何回か繰り返した. 症例は次第に労作時の呼吸困難を訴えて来院. 胸部単純X線写真上及び肺CT scan 上でびまん性に微細穎粒状陰影を認めた. 動脈血ガス分析では低酸素血症とA-aDO2の開大を, スパイログラムでは拘束性障害を認めた. 気管支肺胞洗浄液中にリンパ球の著増を, 経気管支肺生検では間質に多数の炎症性細胞浸潤を認めた. 以上より塗装剤による過敏性肺臓炎の可能性が高いと思われた.塗装剤にイソシアネートが含有され, これとの因果関係が強いと思われた. イソシアネートによる過敏性肺臓炎の報告は本邦では少なく本症例は第5例目の報告である.
  • 安田 雄司, 塙 健, 八木 一之, 小鯖 覚, 宮本 好博, 松原 義人, 畠中 陸郎, 二宮 和子, 船津 武志, 池田 貞雄
    1986 年 24 巻 9 号 p. 1018-1022
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1982年12月から1985年5月までの2年半の間にオウム病の5症例を経験した. 男性2例, 女性3例で, 年齢は28歳から69歳であった. 自覚症状としては発熱が全例に, また咳嗽が4例にみられた. 胸部X線写真では4例が1側性に, 1例が両側性に浸潤陰影を呈した. いずれも入院当初は細菌性肺炎やマイコプラズマ肺炎を疑って治療を行っていた. 全例ともオウム病抗体価が有意に上昇しており, また5例中4例ではトリとの明らかな接触歴があることなどからオウム病と診断した. いずれもテトラサイクリン系, マクロライド系, クリンダマイシン系などの抗生物質の投与によって軽快した. ペットブームのためかオウム病の症例は近年増加の傾向があると思われる. 超炎菌の明らかでない肺炎ではオウム病の抗体価を測定すべきである.
  • 三谷 惟章, 有村 利光, 山王 邦博, 下高原 哲朗, 西島 浩雄, 馬場 国昭, 島津 久明
    1986 年 24 巻 9 号 p. 1023-1027
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    癌と菌球型肺アスペルギルス症の合併した2手術例を経験した. 症例1: 63歳, 男性・術前胸部X線写真で嚢胞内の円形陰影を認め, 菌球型肺アスペルギルス症と診断した. 手術の結果, 右肺S2の扁平上皮癌の癌性空洞内に Aspergillus fumigatus が証明された. 症例2: 54歳, 男性. 胃幽門前庭部にIIa+IIc型の tubular adenocarcinoma と胸部X線上, 左肺S1+2に Meniscus sign を呈する陰影を認めた. 両病巣の手術の結果, sm胃癌と肺アスペルギルス症と判明した. 固型癌と肺アスペルギルス症を同時に認める頻度は少なく, しかも固型癌の治療前にすでに合併していることは極めて稀である. 癌に続発する菌球型肺アスペルギルス症の発症因子について臨床検査成績および切除肺の病理所見, 更に文献的考察からも特徴的なことは指摘できなかった.
  • 望月 吉郎, 岩田 猛邦, 種田 和清, 郡 義明, 田口 善夫, 藤本 憲弘, 南部 静洋, 黒田 康正, 左野 明, 今中 一文
    1986 年 24 巻 9 号 p. 1028-1033
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    一側肺動脈起始部離断症の多くは心内奇形を合併しており, 単独欠損は比較的稀である. 本邦でも報告例は増加しているが, 成人例の報告はきわめて少ない. 29歳の心内奇形を伴わない右肺動脈起始部離断症を経験したので報告する. 胸部X線像・肺CT像・肺血流シンチグラムより本症を疑った. 肺動脈造影にて右肺動脈が起始部より完全欠損しており, 診断が確定した. 心臓カテーテル検査では肺動脈圧は正常であった. 気管支造影では右気管支の分岐・走行は正常であったが, 選択的肺胞気管支造影では細気管支拡張像を認めた. この所見は, 本症には血管系だけでなく気道系にも変化があることを示唆するものであると思われる.
  • 大橋 裕二, 安東 直彦, 沼尾 利郎, 山井 孝夫, 本島 新司, 福田 健, 池森 亨介, 牧野 荘平
    1986 年 24 巻 9 号 p. 1034-1038
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Hydrocortisone sodium succinate 静注 (Saxizon®) により, 呼吸困難の増悪を認めた気管支喘息患者について, 若干の検討を行なった. 患者は, Saxizon と Sulpyrine 吸入試験に, ともに陽性であった. Saxizon のRASTは陰性であったが, Saxizon の皮内即時反応およびP-K反応は陽性であった. しかし56℃ 2時間加熱した患者血清のP-K反応は陰性であった. 以上の結果より, このアナフィラキシー様反応は, Saxizon に対するIgE抗体の関与が考えられた.
  • 工藤 新三, 劉 震永, 福岡 正博, 伊東 裕, 安光 勉, 森野 英男
    1986 年 24 巻 9 号 p. 1039-1043
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    56歳, 女性で咳嗽・血痰を主訴として来院し, 胸部X線写真で左中肺野腫瘤状影・BHL・両肺野にびまん性微細粒状影を認めた. 気管支鏡下肺生検, 縦隔鏡下リンパ節生検などで肺腺癌 (T2N1M0) とサルコイドーシスの合併と診断し, 左肺全剔術を施行した. 切除標本からもサルコイドーシスを合併した肺腺癌が確認された. 肺癌とサルコイドーシスの合併例の報告は少なく, その因果関係は様々な推測が行われているが現在のところ不明である. また, サルコイドーシスに悪性腫瘍が高率に発生するという証拠も得られていない.
  • 1986 年 24 巻 9 号 p. 1044-1052
    発行日: 1986/09/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
feedback
Top