植込み式心臓ペースメーカー使用患者が, 万引等の防犯探知装置により突然死する可能性があるとの報告を機に, 本邦で使用の多い図書管理システムや万引防犯装置によるペースメーカーへの影響の有無の実験を試みた. これまで当施設で実施した実験(放射線照射, MRI, 電気メス, 砕石装置など)より, 予想されるペースメーカーへの影響として(1)false inhibition, (2)EMI protection, (3)プログラム自動変更, telemetry機能障害, (4)back-up Pacing, (5)回路の破損, などが考慮された. 実験に使用したペースメーカーはhardwareおよびsoftwareを含みVVI37, DDD17, VVIR3, の計57台であり, これら装置についてそれぞれ(1)~(5)を観察したが, いずれも反応を示すペースメーカーはなかった. 実験結果より, 防犯探知システムはペーシング機能に影響を与えず, 一応安全と判断された.
抄録全体を表示