富山湾における腸炎ビブリオの分布調査を1996~2000年の間, 毎年夏の終わり頃に行い, 以下の成績を得た.1) 海水中の腸炎ビブリオ菌数は一般的に, 浜辺では0~10
2/100ml, 魚市場を併設する大きな漁港 (以下大きい漁港) では10
1~3/100ml, 河口では10
1~2/100mlであった.
1方, 土中の腸炎ビブリオ菌数は多くの場合, 浜辺の砂で30以下/100g, 大きな漁港の底堆積物 (鱗など) で10
2~5/100g, 河口底泥で10
3~5/10Ogであった.2) 大きな4漁港の港内の海水中の腸炎ビブリオ菌数は, 表層より底層 (底より約30cm上部) において多かった.しかし, これらの漁港の出入り口の海水中の菌数は底層よりも表層で多かった.3)
tdh遺伝子は調べた4漁港すべてから検出された.4) TDH産生性腸炎ビブリオ血清型03: K6は高圧滅菌した漁港の底堆積物中, 25℃, 24時間で0.2/gから1.0×10
8/gまで増殖した.
以上の結果は漁港海水中に高濃度に分布する腸炎ビブリオの増殖場所は底の堆積物と泥であること, 夏に漁港海水を魚や魚市場の洗浄に使用することは食品衛生上適当でないことを示している.
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