農業農村工学会論文集
Online ISSN : 1884-7242
Print ISSN : 1882-2789
ISSN-L : 1882-2789
83 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
研究論文
  • 水間 啓慈, 西村 伸一, 柴田 俊文, 珠玖 隆行
    2015 年 83 巻 5 号 p. I_147-I_153
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/07
    ジャーナル フリー
    我が国には江戸期以前に築造されたものも含め農業用ため池が数多く存在し, 地震や豪雨のリスクに常に直面している.このため, 遅滞なく効率的に改修等のハード対策や管理体制の強化等のソフト対策を講ずる必要があり, 破堤時の想定被害額を考慮しながら優先順位を決定し計画的に対応を図ることが求められている.しかしながら, 既定の氾濫解析に基づく被害額算定手法は複雑であり, 優先度を検討する数多くのため池の被害額を一度に算定することは難しいことから, 容易に被害額を推定できる簡略化された手法が必要となる.本研究では, このような課題に対応するため, 応答曲面法を用いて被害額を簡易に推定する手法を提案する.応答曲面法とは, 実験計画法に基づく回帰分析により, 因子と応答との定量的な関係を表現する回帰式を作成する手法であり, 得られた回帰式は応答曲面と呼ばれる.被害額算定に考慮すべき多くの因子について感度解析を行い, 被害額の値に大きく寄与する4つの因子を抽出した.これらの因子を用いて作成した応答曲面の決定係数R2は0.84と高く, 行政機関等が行う被害額の簡易推定への実用の可能性が示唆される結果が得られた.
  • 鵜木 啓二, 古檜山 雅之, 鈴木 拓郎, 中村 和正
    2015 年 83 巻 5 号 p. I_155-I_164
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/07
    ジャーナル フリー
    河川を流下する土砂の自動計測機器による観測として, 浮遊砂は濁度計による手法が普及しているが, 掃流砂は一般に普及している手法はない.本研究では, 農林地流域の末端に設置されている沈砂池の入口において, 浮遊砂を濁度計で, 掃流砂を音響式掃流砂計で自動観測した.この自動観測による測定値は, 沈砂池に堆積した土砂量等と比較することにより, 観測誤差が小さいことを示した.2年間の観測の結果, 河川流下土砂の掃流砂割合は8%であった.出水時における流量と浮遊砂量の関係(L-Q)は, 降雨の状況や融雪の進行状況などの出水条件により異なっていたが, 流量と掃流砂量の関係は, 出水条件にかかわらず一様であった.
  • 山本 清仁, 小林 晃, 武藤 由子, 倉島 栄一, 原科 幸爾, 塚田 泰博
    2015 年 83 巻 5 号 p. I_165-I_175
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
    津波による海水の浸漬を受けた岩手県陸前高田市広田町のため池堤体において電気探査(比抵抗とIP), 地中レーダー探査, 簡易的な弾性波探査を行った.本論は, 物理探査調査によるため池堤体の除塩状況の把握を目的としている.電気探査からは電気伝導度分布と充電率分布, 地中レーダー探査からは電磁波の相対反射強度分布, 弾性波探査からは弾性波の相対反射強度分布を得た.その結果, ため池堤体内部の塩分濃度は時間の経過とともに穏やかに減少することが観察された.また, 高塩分濃度領域は地下水面よりも上部の粘土を含む層に位置するものと推定された.さらに, 津波から1年以上経過しても塩分濃度が高い領域は, 局所的に存在していると推定された.
研究報文
  • 濱 武英, 軸丸 智菜美, 小林 拓仁, 川越 保徳, 島 武男, 藤見 俊夫
    2015 年 83 巻 5 号 p. II_89-II_93
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/07
    ジャーナル フリー
    熊本県の白川中流域の水田で涵養される地下水は下流域住民およそ100万人に利用されている.本研究は, 灌漑期の水文観測から白川中流域水田の水管理と水収支構造を明らかにした.調査対象の水田では, 地下浸透能は約30 mm/dであり, 普通期の総用水量は約4,000 mmであった.灌漑は掛け流しで行われ, 取水量の3割は排水となっていた.本調査水田では, 水収支において, 用水量, 排水量, 浸透量の寄与する割合が高かった.一方, 用水の硝酸態窒素濃度はおよそ0.5 mg/Lであるが, 水田においてはほとんど検出されず, 水田の窒素除去機能が確認された.
  • 國光 洋二, 中田 摂子
    2015 年 83 巻 5 号 p. II_95-II_101
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究では, 地域住民が施設の見回りのときに簡易に入力できる機能診断調査票を用いて小規模水利施設の健全度を定量的に評価し, 施設の改修時期を概定する手法を示す.この手法を農地・水・環境保全向上対策(現, 多面的機能支払)実施地区に適用し, 結果に関する住民アンケート調査の結果をもとに, 提案する手法の有益性や今後の活用可能性を考察する.現地適用試験の結果, 機能診断調査結果と現地写真を地図情報にリンクして整理することが多くの対策参加者から肯定的に評価されるとともに, 提案する手法が施設保全管理の効果評価に活用できる可能性が示唆された.
  • 浪平 篤, 髙木 強治, 樽屋 啓之
    2015 年 83 巻 5 号 p. II_103-II_111
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
    開水路系の農業用水路における横越流堰の水理設計では流量公式が用いられるが, 実験上の問題から普遍的な公式は確立されておらず, 既存の公式は模型実験で検証された範囲を超える条件への適用は保証されていない.そこで本研究では, 水理設計への適用可能性の検証を目的として, 横越流堰周辺流れの3次元解析を行った.その結果, 水理設計で用いられる流量公式の適用範囲外の条件ではあるが, 詳細な流況の計測が行われている既往の水理模型実験に適用した場合, 流況の定性的な傾向を十分に捉えるとともに, 越流量を高い精度で再現することが確認された.また, この実験模型の諸元を流量公式の適用範囲内となるように変更した解析モデルに適用した場合, 解析から直接的に得られる越流量と, 水面形の解析値を流量公式に適用して得られる越流量は, ほぼ一致することが確認された.
  • 近藤 文義, 原口 智和, 郡山 益実
    2015 年 83 巻 5 号 p. II_113-II_120
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究は, クリンカアッシュと炭化物の基礎的性状および水質浄化機能の比較を行ったものである.クリンカアッシュは洗浄前および洗浄後のECがいずれも炭化物に比べて小さく, 水中への電解質の溶出量は少ないものと判断された.次に, クリンカアッシュの原粉とその平均粒径0.5mm画分は泥水の濾過材料としての機能に優れており, 著しい濁度およびCODの低下が認められた.また, 無機態窒素および無機態りん濃度の測定結果から, クリンカアッシュは炭化物と比較してほぼ同等の水質浄化能力を有することが推定された.この場合, クリンカアッシュは炭化物とは異なり, りんの溶出は認められなかった.
研究ノート
feedback
Top