3層構造のパーセプトロンモデルを用いて, 富栄養湖におけるクロロフィルa濃度の推定を行った. まず, 与えられた教師データに対して, 良好な学習結果が得られるような入力項目を探索し, 最適なネットワーク構造について検討した. その結果, 入力項目をTN, TP, DO, 水温, 日射量, 気温, 風速, ウェダバーン数としたモデルが最も学習精度が高かった.このとから, 植物プランクトンの動態に影響を及ぼす環境因子を入力層に付加することで, ネットワークはクロロフィルa濃度と入力項目との写像関係を良好に認識し, 精度の高い学習が可能となると考えられた. つぎに, このモデルを用いてクロロフィルa濃度の推定を行った. その結果, 推定値と観測値には大きな差が生じ, 充分な推定結果が得られなかった. そこで, 入力項目のうち連続観測データの過去の時間的推移を考慮したところ, モデル精度は向上し, クロロフィルa濃度の良好な推定が可能となった.
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