農業農村工学会論文集
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2007 巻 , 250 号
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  • 森 牧人, 平松 和昭, 原田 昌佳
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 347-352,a1
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 北部九州の平野を対象にGPSと気象のデータを用いて日蒸発散位の推定を行った. まず, 対象地域のGPS可降水量の季節変化を過去一年 (2005年) について明らかにした. 次に, GPS可降水量と地上気温の関係を調べ, 飽和水蒸気圧曲線を援用した両者の回帰式を求めた. さらに, GPS可降水量の年平均値を用いて対象地域の代表的な相対湿度を見積り, それを含む日平均地上水蒸気圧の評価式を可降水量の関数として導いた. 同式により評価された地上水蒸気圧を基に対象地域の日蒸発散位を通年で推定した. 蒸発散位の推定値は従来の方法により求められた値と概ね良い一致を示し, 地域の蒸発散位の推定にGPS可降水量の利用が有効であることが示唆された.
  • 森 牧人, 平松 和昭, 原田 昌佳
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 353-361,a1
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    GPS (Global Positioning System) は人工衛星を利用した高精度な測位システムとして良く知られている. ここ10年あまりの間に, GPSのデータを基に無限高の大気カラム中に含まれる水蒸気の総量を「GPS可降水量」として求めることが可能になった. 本研究では先行研究により示されたGPS可降水量と地上水蒸気圧の高い相関性に着目し, 北部九州の平野を対象にGPS可降水量を用いて月蒸発散位の推定を行った. まず, GPS可降水量を基に推定された地上水蒸気圧は実測値と良く一致することが確認され, 両者の差の標準偏差△eは1.7hPaであった. 次に, 地上水蒸気圧の代わりにGPS可降水量を用いた月蒸発散位の推定式が示された. 同式による蒸発散位の推定値ETGPSは従来のペンマン式から得られた値ETPENと概ね一致した. 最後に, △eがETGPsに及ぼす影響について検討した. その結果, ETGPSは月蒸発散位を推定するにあたり, 最大でETPENの20%(春季~秋季) ~50%(冬季) ほど過小または過大評価する可能性があることが示唆された.
  • 森 牧人, 田中 宏延, 平松 和昭, 原田 昌佳
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 363-371,a1
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, GPSの測位データを基に大気カラム中の水蒸気の総量をGPS可降水量として算出することが可能になった. 本研究では, 北部九州の平野 (佐賀平野) 内のGPS電子基準点と気象観測点で得られた過去約7年分のデータについて解析を行い, 大雨日 (日降水量が50mm以上記録された日と定義) を対象にGPS可降水量と降水の関係について調べた. その結果, 大雨日の特徴として,(1) 可降糧の増加率Rinc ((Pwv0-PWV*)/PWV0) が-0.25-0.75であること (PWV0とPWV*は, それぞれ, 当日および前日午前0時における可降水量),(2) PWV0が温度の関数として導かれる可降水量PWVsat (T0) (T0: 当日午前0時の地上気温) 以上の値をとること,(3) T0とPWV0の各値がそれぞれ閾値 (TrefおよびPWVref) 以上であること, 以上の3つの条件が抽出された. これらの条件を基に大雨予測指標IHPを作成し, それを実際のデータに対して適用した. IHPを用いることにより安全な予測結果が得られ, 同指標の有用性が示された.
  • 山下 良平, 星野 敏
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 373-383,a1
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 秋田県美郷町における六郷西部地区経営体育成基盤整備事業を事例として, 圃場整備事業 (ハード整備) を契機に担い手への農地集積 (ソフト施策) を一体的に進める「圃場整備総合化手法」の有効性について検討した. 分析方法として, 多様な経営主体の相互作用や環境の変化を明示的に考慮することが可能なマルチエージェントシミュレーション (人工社会モデル) を援用した. 当該地区の農家情報及び農地の基盤情報を投入したモデルを構築し, 基盤整備の有無・地域農業の組織化の程度の差異を基に圃場整備総合化手法の効果予測を試みた結果, 耕作放棄の抑制に関して, ハード整備或いはソフト施策の単独実施に比べて, 施策の一体的実施による相乗効果を確認することができた.
  • 橋本 岩夫, 丸山 利輔, 村島 和男, 滝本 裕士
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 385-392,a1
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    河北潟沿岸低平水田地帯の単位水田について, T-N, T-Pの収支は長年の間では平衡すると仮定し, 年間収支の実態を分析して, 下流環境への負荷の視点から水田の役割を論じたものである. 環境負荷を栽培系, 用排水系, 自然系に分類し, 検討した結果, 栽培系負荷が大きなウエイトを占め, 肥料として水田内に持ち込まれるNよりも, 収穫物 (モミ) として水田外に持ち出されるNの量が多いことが分かった. 用水から補給されるNは少なく, 肥料で不足するNを降水中の酸性降下物やラン藻類が固定する空中窒素で補給していることが推定された. 水田は, 収穫物として系外にNを持ち出すので, 下流環境に対して環境容量を確保し, 浄化型として働くことを明らかにした. この結果から, 河北潟沿岸低平水田地帯の稲作農業は「環境保全型農業」ということができる。
  • 山岡 賢, 柚山 義人, 中村 真人
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 393-401,a1
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    メタン発酵消化液の脱水ろ液の濃縮・減量方法として, 著者らは単蒸留装置を用い減圧条件設定の違いで脱水ろ液の蒸留液を放流可能な清浄な水質の液とアンモニア水溶液 (NH3濃縮液) に時間的に区分して回収するSimdcap法を開発した. 本論文では, 同法によるNH3濃縮に要する時間及びNH3濃縮液量の予測方法を明らかにした. 予測方法は脱水ろ液のアンモニア性窒素濃度 (NH4-N) と蒸留液の留出速度を初期条件として, それらの値を予測する. 例えば, NH4咽濃度を1,500mg・l1, 留出速度を2%・h-1 (%は初期脱水ろ液量に対する蒸留液の体積割合を示す.) とするとNH3濃縮に9.6hを要しNH3濃縮液量が19%となるとの結果を得る. さらに, 濃縮に伴う脱水ろ液中の溶存物質の析出等による蒸発器内の付着物量を調査し, 脱水ろ液の濃縮率が90%を上回ると急激に付着物量が増加することを明らかにした.
  • 齋 幸治, 原田 昌佳, 吉田 勲, 平松 和昭, 森 牧人
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 403-410,a2
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    3層構造のパーセプトロンモデルを用いて, 富栄養湖におけるクロロフィルa濃度の推定を行った. まず, 与えられた教師データに対して, 良好な学習結果が得られるような入力項目を探索し, 最適なネットワーク構造について検討した. その結果, 入力項目をTN, TP, DO, 水温, 日射量, 気温, 風速, ウェダバーン数としたモデルが最も学習精度が高かった.このとから, 植物プランクトンの動態に影響を及ぼす環境因子を入力層に付加することで, ネットワークはクロロフィルa濃度と入力項目との写像関係を良好に認識し, 精度の高い学習が可能となると考えられた. つぎに, このモデルを用いてクロロフィルa濃度の推定を行った. その結果, 推定値と観測値には大きな差が生じ, 充分な推定結果が得られなかった. そこで, 入力項目のうち連続観測データの過去の時間的推移を考慮したところ, モデル精度は向上し, クロロフィルa濃度の良好な推定が可能となった.
  • 平松 研, 鈴木 裕久
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 411-418,a2
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    適切な溜池の管理手法を明らかにするための基礎的研究として, 旧来より行われてきた溜池管理作業の一つである池干しに焦点を当て, 池干しによる底泥の変化と水質への影響を検討した. 大阪府, 滋賀県, 岐阜県内の10箇所の溜池から採取した底泥を用いて実験室内で模擬的に池干し状態と湛水状態を再現し, 作成した試料に対して, 池干し後の再湛水を想定した好気条件下におけるリンと窒素成分の溶出試験と底質試験, さらに脱窒試験を行った. その結果, 溜池によってばらつきはあるものの, 池干しにより, 再湛水後の底泥内有機物の分解が約3%促進されること, 再湛水後の底泥からのリン溶出量は33%程度抑制されること, 脱窒量は増加するケースと減少するケースの両者が存在すること, リンのケースとは逆に窒素溶出量は約250%も増大することが明らかとなった.
  • 人見 忠良, 吉永 育生, 三浦 麻, 濱田 康治, 白谷 栄作, 高木 強治
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 419-427,a2
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 湖沼における有機性汚濁の原因の1つとして難分解性の溶存有機物の蓄積が進行しているためであることが分かってきた. 本研究では溶存有機物 (DOM) および難分解性DOMであるフミン物質が主要な構成要素である疎水性酸画分に着目し, 単位水田の灌漸期間におけるDOMおよび疎水性酸画分の流出実態を調査した. 灌概水量, 表面排水量, および流入・流出水のDOMおよび疎水性酸画分の濃度を測定し, 負荷量を計算した. DOMおよび疎水性酸画分の濃度は灌概水に比較して田面水で高く, また, 土壌浸透を経ることにより低下した. 土壌面から浸透したDOMおよび疎水性酸画分の負荷量は土壌面下0.3mでDOM: 59%, 疎水性酸画分: 66%に減少し, 土壌面下1.0mでDOM: 35%, 疎水性酸画分: 31%に減少した. 田面水を土壌浸透させることでDOMおよび疎水性酸画分の負荷排出量を抑制できることが示唆された.
  • 工藤 亮治, 永井 明博, 近森 秀高
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 429-436,a2
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    貯水池運用を考える際, 渇水などに対処するためには長期の流況予測が必要になる. しかし, 現段階の長期気象予測精度では長期流況を決定論的に予測することは困難である. そこで本研究では, 貯水池流入量を確率的に予測するために, 流出モデルを用いて確率累加流入量曲線を作成した. 確率流入量曲線の作成に流出モデルを用いると, 現時点の流域の乾湿状況を反映した曲線を作成できるという利点がある. また, 様々な確率累加流入量曲線と放流量を想定して, 実流域のダム貯水池における3ヶ月先までの貯水量予測を行った. この方式では, いろいろなケースについてシミュレーションして貯水量予測を行うため, 渇水協議会等での放流量決定の際の有用な資料を提供できる.
  • 濱 武英, 中村 公人, 三野 徹
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 437-443,a2
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    循環灌漑と従来の灌漑 (逆水灌漑) を実施する琵琶湖沿岸の水田流域において, 窒素とリンの物質収支を調査した. 調査地区では, 循環灌漑は代かき期から中干し前まで, 逆水灌漑は中干し後から落水まで実施された. 調査結果として, 循環灌漑は余剰水とともに窒素とリンの流出負荷を削減することが確認された. 4月末から6月下旬の循環灌漑期では, 用水量のうち約80%が余剰分であったが, 循環灌漑時の地区外への流出はほとんど見られなかった. 循環灌漑時と逆水灌漑時の物質収支の比較から, 循環灌漑は少なくともTNで120gha-ld-1, TPで15gha-1d-1の流出負荷を削減したことが示された.
  • 満尾 世志人, 西田 一也, 千賀 裕太郎
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 445-451,a2
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    谷津水域の代表的な魚類であるホトケドジョウについて, 本種の生息に影響を及ぼす環境要因を抽出することを目的とし, 東京都内の二箇所の谷津水域において2004年6月から2006年11月にかけて, 本種の分布状況や水路構造, 水理諸元, 水質について調査を行った. その結果, ホトケドジョウは成長段階により環境要因に対して異なる要求性を持っていることが把握された. 雨量が乏しく水路内の流量が減少する時期に, 成魚の個体数と水深との間に強い正の相関が確認され, 谷津水域においては他の要因に比べ水量が強く制限的に働くことが示唆された. また, 水路内の水温上昇が, 本種の生息に悪影響を与える可能性が示唆された.
  • 冠 秀昭, 岩佐 郁夫, 星 信幸, 加藤 誠
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 453-461,a3
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水田輪作を考慮した利用履歴の異なるほ場において, 弾丸暗渠の施工部分およびそれらの中間地点である無施工部分の浸透能と施工部分の断面状況を調査した. 弾丸暗渠の施工部分の浸透能は, 弾丸暗渠孔空隙部の残留率より, 弾丸暗渠孔まで達する施工亀裂の残存状況に影響され, 畑作後や代かきを伴わない水稲栽培後は350~480mm/hと高く維持されたが, 代かきが行われるごとに低下した. 弾丸暗渠を導入した水田輪作でのほ場排水性の変化は, 弾丸暗渠の施工による施工部浸透能の向上, 畑地利用による無施工部浸透能の向上, 代かきによる施工部および無施工部浸透能の低下, により示された. ほ場の排水性を維持するためには, 代かきを伴う水稲栽培が2作行われた後に弾丸暗渠を再施工する必要があった.
  • 森谷 慈宙, 山本 太平
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 463-470,a3
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    人工土壌における理化学的特性を明らかにし, 耐水食性及び効率的な灌概計画に及ぼす効果について検討を行った. 供試土壌は4種類の人工土壌と3種類の自然土壌である. 人工土壌の種類は, 有機物含量の多いKS, 多孔質鉱物を主成分としたVS, 粉状パーライトのPP, 粒状パーライトのGPである. 人工土壌はいずれも自然土壌と比べて砂分が多く軽量であり, 飽和透水係数が高く, このうちKS及びVSは粒径幅も広かった. VSの耐水性団粒は大きく, 植物に適した構造であった. 土壌の肥沃度特性を自然肥沃度と養分の豊否に分類した結果, KSの場合, 特に肥沃度が高かった. 降雨実験では40mmh-1の降雨をそれぞれ1時間与えた. その結果, 人工土壌では侵食土量が発生しなかった. 過去30年間の日降雨量を利用して補給灌概水量及び有効雨量を求めた結果, 人工土壌は自然土壌より有効雨量が多く評価され, 補給灌概水量が少なくなり, 特にPPでは顕著であった. 以上のことより, 人工土壌の理化学的特性が耐水食性と灌概計画の効率化に高い効果を及ぼすことが期待された.
  • 久保田 晴香, ウィタカ アンドリュ, 杉山 博信
    2007 年 2007 巻 250 号 p. 471-476,a3
    発行日: 2007/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    気候区分に即して日本海沿岸域を区分した各地方における降水量特性の周期変動を統計的に評価してみた. なお. 解析資料としては, CD-ROMに収録されている日単位の降水量データ (1903~2004年) を用いた. その結果, 出羽地方に位置する秋田と山形での年降水量 (12~11月) には約20年, 山陰地方の境と浜田でのそれには11~13年程度のそれぞれ卓越した周期成分が存在していること, また北陸地方の伏木における年降水量の約13年の周期変動は, 山陰地方のそれに, 一方, 敦賀での約20年は出羽地方の周期成分に類似していること等が分かった. さらにまた, 寒候期降水量 (12~4月) の周期変動には, 各地方ごとに卓越した周期成分が存在していること, 各地点における年最大日降水量には10年以上の周期成分が顕著であること等が分かった.
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